【高橋】 猛威を増すために直正は勝ったのに信長に命乞いをするんです。そして信長は許すんです。そうなると光秀はものすごく腹を立てると思いますね。後に三尾山城を(光秀が)落とした時に「ここで3年の恨みを果たした」と言ったことが文書にも出てきますから。
【田辺】 そして、その途中で荻野直正が病死するということですね。
【高橋】 天正6年4月に腫れものが首の周りにでき病死しています。49歳(享年50歳)でした。
【田辺】 毒をもられたというような可能性もあるんですか?
【高橋】 それはちょっとよくわからないですが。この当時はかなり(直正は)信長に命乞いをしています。信長も挨拶に安土に来いと何回も言っているのですが、来ないので光秀を再度送ったということは文書に書いてあります。
【田辺】 安土まで挨拶に行って波多野氏は殺されるわけですから、当時の動きとすれば本当に何が起こるかわからない、戦国時代ですね。
【高橋】 一度、光秀を脅かしていますので、なかなか(信長に)挨拶に行けないんじゃないですか?
【田辺】 まあ、そうでしょうね。こうして織田勢が再び丹波に入ってきた1578年に荻野直正は病死すると……。直正を継ぐような赤井(荻野)家の後継者はいたのですか?
【高橋】 弟の幸家が黒井城を継ごうとしますが……。
【田辺】 能力的には難しかったんですか?
高橋成計『明智光秀を破った「丹波の赤鬼」 ~荻野直正と城郭~』(神戸新聞総合出版センター)
定価 本体2,300円+税
発行日 2020年2月
ページ 240ページ
ISBN 978-4-34-301061-2
神戸新聞総合出版センター
https://kobe-yomitai.jp/book/1007/
『ラジオで辿る光秀ゆかりの兵庫丹波』2020年5⽉14⽇放送回音声