21歳のヴィーガン起業家は神戸大生 日本初のレシピ投稿サイト開設

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 ヴィーガン、あるいはベジタリアンと耳にして、どのような食卓を思い浮かべるだろうか。なんだか味気ない、満足しない「修行」のような食事を思い浮かべる人が大半なのではないだろうか。

「実はそうではない!」と社会に訴え、実際にヴィーガン文化を日本に推し進める若き起業家がいる。今回はヴィーガン料理のレシピ投稿サイト「ブイクック」を運営する工藤柊さんに話を伺う。

工藤柊さん
工藤柊さん

◆そもそもヴィーガンとは?

 ヴィーガンは、日本語だと「完全菜食主義」とか「脱動物利用主義」などと表現することが多いです。簡単に言うと「ベジタリアンの強いバージョン」みたいに思っていただいて結構です。

 ベジタリアンは「お肉や魚などの動物性の食事を採らない」という考え、及びこのような主義を持っている人たちのことを指します。

――ヴィーガンとベジタリアンはどう違うんですか?

 ベジタリアンの中に、細かい分類として「ヴィーガン」があります。お肉や魚だけではなく、牛乳や卵なども動物性だと解釈して、そうした食材を避けた食生活を心がけるのがヴィーガンです。

 食事だけではなくファッション等にも関連していて、たとえば「革製のファッションアイテムは使わない!」という取り組みもあります。

――ファッションもそうなんですね!

 そうなんです。食事だけではなくライフスタイル全般に関わります。

――ベジタリアンをもっと厳格にしたのが「ヴィーガン」というイメージで大丈夫ですか。

 そうですね、大まかにはそれで大丈夫です。

◆19歳からヴィーガンデビュー

――そもそも工藤さんがこの「ヴィーガン」という文化に出会ったきっかけを教えてください。

 生まれたときからヴィーガンだったというわけではないです。

 僕がヴィーガンを始めたのは3年半ほど前です。当時は高校1年生でした。もともと環境問題などに関心があって、先進国と、いわゆる発展途上国との格差にモヤモヤを抱いていました。そんな折に、受験勉強の帰り道で車に轢かれてしまった猫を見たんですよ。

「人間と人間」だけではなく、「動物と人間」にも格差があるのだと実感しました。

 これがきっかけで、いろいろと調べて知識を求めるようになります。保健所の殺処分問題や、畜産業における動物の扱いなど、様々な現状を知りました。それまでは知らなかったけれど、こんなことが起こっているのか、と驚きました。

 このような問題が巡り巡って環境問題にも関わってくるんですよね。自分の身の回りの生活が、環境問題に繋がっているを知りました。

――そこからヴィーガンに?

 そうですね。僕はこういう経緯ですが、健康問題や宗教上の理由からヴィーガンを選択する人もいらっしゃいます。

――19歳の時にヴィーガンになられたわけですね。

 ヴィーガンやベジタリアンは日本では馴染みのない考えですが、色々と調べていくうちに、欧米ではそこまで珍しくないことがわかったのです。

 それだったら1度やってみようと思って。調べた次の日からやってみました。

◆ヴィーガンはやっぱり大変? ヴィーガンの世界の実情

――いざヴィーガンを始めて、戸惑いはありませんでしたか。

 そうですね。「何を食べたらいいのかなぁ」からのスタートでした。サラダしか食べられないのかなと思ったり。お米と野菜は食べられるので、最初の2週間くらいはおにぎりと水炊きのお鍋でした。

――つらくはなかったですか。

 最初は「お試し期間」くらいにしかとらえていなかったので、こんなもんかなあと。

 でも自分で調べながら継続するうちに選択肢が広がってくるんですよ。「実はパスタは食べていいんだ」とか。牛乳は無理だけど豆乳はいけます。お肉は無理だけれども、おあげさんだったり、大豆でできた “大豆ミート” という食材があったり。

 実はヴィーガンでも食べることのできる食材は身の回りに沢山あったんですよ。

 母親にも協力してもらいながら、ヴィーガンとしてのレパートリーを少しずつ増やしていきました。

――いきなりヴィーガンになって、友人との食事に影響はありませんでしたか。

 ヴィーガンになりたての頃、僕は高校生で、周りと違うことをして笑いを取るようなキャラでした。なので、冗談交じりに茶化してなじませていきました。

 焼肉に行って僕は焼野菜だけを食べる、みたいな場面もありましたが、笑いで済んでいましたね。

――目の前でお肉を焼かれて食べたいなとか思いませんでしたか?!

 お肉を食べたい気持ちはないですね。けれども、シュークリームやケーキのように(乳製品として)間接的に動物が関わる食べ物に惹かれる瞬間はあります(笑)。

 それでも、牛乳や卵を使わないお菓子などもあるので大丈夫です!

工藤柊さん
工藤柊さん

◆ヴィーガンを気軽な選択肢にしたい

――友人に対して「食べないで欲しい」というような怒りの感情が湧いたりとかはありませんでしたか?

 たしかにヴィーガンになりたてのときは「食べない方がいいんじゃない」などと伝えたりもしました。でも、食べないという非常に極端な選択肢はやっぱり大変じゃないですか。

 お肉でなくとも同じような味で同じような価格で選べるものがあればいいなと思いました。選択肢さえあれば、植物性の食べ物を選ぶ人が増えるのではないのかなと。

 そこで、まずはそうした環境を整えることに注力しました。大学入学後から活動を始めてそれが今の事業に繋がっています。

――人を変えるのではなく、環境を変えるということですね。いま運営されている「ブイクック」はヴィーガン料理に特化したレシピ投稿サイトなんですよね。実は日本初なんだとか……。

 そうなんです。僕がブイクックを立ち上げる以前にも、ブログやSNSなどで情報を発信している人がたくさんいました。しかし、それらがまとまったプラットフォームは無かったんですよ。なにより僕自身が、まとめて見たいと思いました。他の人の考えたヴィーガン料理のレシピを見たり、それを保存しておける場所があればいいなと。これがサービスを始めたきっかけです。

 去年の7月から始めて、10か月くらいサービスを継続していますが、今はおよそ1100件ほどの料理が掲載されています。料理名で検索すれば、大抵のメニューはヴィーガン食として表示されるようになっています。

――「大抵のメニュー」というのは、ヴィーガンでない人が食べているような料理ということですか?

 はい、そうです!

 卵の使わないオムレツとか、唐揚げのようなものがあったりだとか。一般的なメニューがヴィーガン料理として提案されています。

◆どうなる?これからのヴィーガン業界

――ヴィーガンをめぐる状況もここ数年で少し変化してきたと伺いました。これについて詳しく教えてください。

 ここ1~2年で大きく変化しましたね。メディアに紹介される機会も増えました。大手のメーカーさんや飲食チェーンさんもヴィーガン向けの商品やメニューを出されていたり。

 おそらく2020年に東京オリンピックが予定されていたことが理由だと思います。様々な文化を持つ人が集まるので、これに対応すべくヴィーガン食に力を入れたのだと思います。

――工藤さんのこれからの展望について教えてください!

 3年前からずっと思っていたことですが、まずは「ヴィーガンをやってみたい!」と思った時に、簡単にヴィーガンを選択できるような環境を作りたいです。外食したお店にヴィーガン対応のメニューがあったり、家でヴィーガン料理のレシピにすぐアクセスできたり。

 というのも、「ヴィーガンをやってみよう」と言う友人は僕の周りにいました。けれど、1週間くらいでやめてしまう人も少なくありません。続けてはいるけれども、人と食事をするのは大変だ、という声も聞きます。

 ヴィーガンとしての生活はできなくはないけれども、まだまだ社会の理解度が追いついておらず肩身の狭い思いをしなければならないのが現状です。ヴィーガンを始めたり、継続したりするハードルをどんどん下げられるような活動を僕がしていきたいと思います!

――最後に、リスナーの方に一言お願いします。

 ヴィーガンを敬遠している方や、あまり馴染みがないという方もいらっしゃるかもしれませんが、一度レシピや近くのお店を調べて食べてみてください。なんだか味気ないイメージもありますが、案外美味しかったりします!一度挑戦してもらえればなと思います!

※ラジオ関西『PUSH!』2020年6月3日放送回より


ブイクック
https://vcook.jp/

PUSH! | ラジオ関西 | 2020/06/03/水 16:30-17:35

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