「見えぬ敵、この国に問う」勝海舟・玄孫が語る 髙山みな子さん 「GoToトラベル 国民の迷走は誰のせい? 」《下》 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「見えぬ敵、この国に問う」勝海舟・玄孫が語る 髙山みな子さん 「GoToトラベル 国民の迷走は誰のせい? 」《下》

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 日本が戦後、経験したことのない国難ともいえる新型コロナウイルスの感染拡大、どう立ち向かうのか。付随して起きた現象「GoToトラベルキャンペーン」、国民の迷走は誰のせいなのか。勝海舟の玄孫・髙山みな子さんに「新型コロナ・見えぬ敵が我々に問うもの」を聞く。

 勝海舟は晩年、痛烈な時局批判などを記した時事談話集『氷川清話(ひかわせいわ)』を残した。ひも解けば得られるヒントもある。

『氷川清話』明治31年(1898)ごろ刊行。海舟と交友があったジャーナリスト・徳富蘇峰が序文を記した。(髙山みな子さん所蔵)
『氷川清話』明治31年(1898)ごろ刊行。海舟と交友があったジャーナリスト・徳富蘇峰が序文を記した。(髙山みな子さん所蔵)

■「国民の望み、民の向かうところ」とは…

 慶応3年(1867年)末、明治維新の前年、海舟は幕府に提出した提言書の中に真の政府と言える条件8箇条を書いている。その1つに「民の向かうところを知り」、つまり国民が何を望んでいるかを知ることとある。国民の望みと言っても老若男女、人それぞれ、職業によっても違うだろう。1億人近い国民の希望など一つにまとまるはずもないからせめて3つくらいにまとめる。3つくらいなら実行可能であろう。

 この時に肝心なのは「公平」である。「氷川清話」から引用する。

 「(行政)改革ということは、よく気を付けないと弱い者いじめになるよ。〈略〉全体、改革ということは、公平でなくてはいけない。そして大きい者から始めて、小さいものを後にするがよいヨ。言い換ええれば改革者が一番に自分を改革するのサ。松平越中守(定信)が田沼(意次)時代の(未曽有の賄賂政治を招いたとされる)弊政を改革したのも、実践をやって下の者を率いていたからあの通りうまく出来たのサ」

「GoToトラベルキャンペーン」がつまづこうとする原因の一つは「不公平感」ではないか。

 東京都民はだめ、という大不公平はおいておいても、そもそも旅行に行ける余裕のある人のために、旅行に行く余裕のない人の税金まで使われるのである。「格差」の象徴のようである。日本の観光業に携わる方々とお話しすると、これからは自分の身近な場所の魅力を発見することが国内の活性化、地域再生につながると思うが、灯台下暗しとはよく言ったもので、自分の住む地域の良さに気づいていないことが多いとよく聞く。

■「小さな」GoToはできないものか

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