日本の自販機では「つめたい」と「つめた~い」の表示が混在している……いったいなぜ? 取材を進めると、自販機で温かさや冷たさをどう表示するかは、飲料メーカーが決め、自販機メーカーが文字やフォントの希望を受けて製造、それが街中に並んでいるということだった。明確な基準や決まりはないのだろうか。例えば、「あったか~~~~~い」でも、いいの?
■実はガイドラインがあった! わかりやすさを重視?
自販機の本体を製造するメーカーの業界団体である、日本自動販売システム機械工業会に聞くと、「実は20年ほど前からガイドラインが存在し、【あたたかい/つめたい】もしくは【あったか~い/つめた~い】の2通りを基本的には想定しています」ということだ。色に関しては「温かい飲み物の場合は【赤地に白抜き】、冷たい飲み物は【青地に白抜き】が基本」だそうだが、いずれも強制力はないという。
上記のように決めた理由については、「ひらがなで表記し、時に“~”を挟むことで、これは温かいです、冷たいですというニュアンスをよりわかりやすくしています」とのこと。全国清涼飲料連合会に同じ質問をしたところ、「憶測ですが、買う人の心理に影響しているのではないでしょうか。子どもでも読めるひらがなで、大きな字で書いてあるうえ、“~”が付くとよりわかりやすいので」と、同じような答えが返ってきた。
■「あったか~~~~~い」でも別にOK
つまり【HOT/COLD】をはじめ、様々な表示が見られてもおかしなことではない。飲料大手・ダイドードリンコの担当者は「外国人観光客が増えたので、【HOT/COLD】の表示の方が時代には適しているのかもしれません」といい、自動販売機製造大手のサンデン・リテールシステムの担当者は、「インバウンドに対応するため、JR東日本の構内にあるacure(アキュア)という自販機では、温かいものは炎のマーク、冷たいものは氷のマークで表示している例があります。これはかなりの挑戦だと思います」という。
■人のハートをあったか~く……
「~」は波ダッシュや波線(はせん・なみせん)と呼ばれ、長音符(ー)の代わりに使われることで、ある事象の程度や感情を含んだ表現になる。取材したうえで改めて思うのが、【あったか~い/つめた~い】は形容詞を強調したものであるほかに、「自販機自身の、または飲んだ人の感想としての言葉」ではないだろうか、ということ。自販機が購買者に「あったか~い(よ、コレ)」と話しかけ、飲んだ人がホッと一息つき「あったか~い(な、コレ)」と声に出すシーンを思い起こすと、自ずと親しみやすい、飲みたいという気持ちになる。
一方、【あたたかい/つめたい】や【HOT/COLD】はとてもストイックな印象だ。「この飲み物は温かいか、冷たいか」以外の主観が完全に排除されている。ただ、「温かい/冷たいものが飲みたい」という冷静な感情には有効だろう。
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