OSKに入って、やっぱり若い時には喧々していたときもありましたが、そういう段階を経て、今は怒りというものが全く消えて、それよりも「向き合わなきゃいけない」ということの方が大きくなってきています。短気は短気だったんですよ、性格的に言うと。ただ、そこの部分がなくなったというのは、すごく良い環境に置かせてもらっているんだなというふうに思うので、今は穏やかになりました(笑)。
――それは、変わるきっかけが何かあったんでしょうか? トップになったから変わったんでしょうか?
あまり立場的な理由はなかったです。この仕事をしていて思うのが、1人では絶対できないことをゼロから作って、自分が見えないところでも支えてくれる人がいて、それをお客様が楽しみにしてくれて、見てくださる。そういう流れ、「1人ではできない」という部分を感じる機会が、舞台の仕事をしていると多いんですよ。そのことに気付くようになってから、考え方とか向き合い方とかは変わってきました。
――若い頃は、そうではなかったんですか?
ええ、若い頃はまったく自分のことしか考えていなかったですね。取り戻したいけど、それがあるから、今があるのかなとも思いますし、会社の人にも言われますよ、「変わったね」って(笑)。下級生にも言われます。どうしても私たちの仕事というのは、選ばれたり選ばれなかったりというものがあり、劇団員同士がライバルでもあるので……自分にはないものを持っている下級生がいたりすると、「悔しい!」という時期もありました。今もありますが、(一方で)その子のことを好きになったんですよ。「悔しい! 負けるか!」ではなく、好きになって、そうしたらその子の良い部分を舞台で盗めるし、その子との会話も変わるし。そんなあるとき「桐生さん、変わりましたよね」って言われたんです。
◆トップスターは大変?
――やはり、トップは大変ですか?
よくそう言ってもらうんですが、周りが大変だと思います。私はありがたいことに、変わらず舞台と向き合わせてもらえていますが、それはやっぱり周りの方のサポートが厚いから。なので大変ということは正直言ってないですね、本当に。舞台を作る大変さっていうのはもちろんありますが、それは今この立場にいるからではなく、ずっと昔からそうなので、あまり大変さはないんですよ。
――舞台に立ち続けることを求められる、プレッシャーはありますか?
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