私たちの生活を支える下水処理場。小学校での社会見学で訪問した思い出あるものの、普段、その仕事を知る機会は少ないものです。そのなかで、神戸市の「東水環境センター」(神戸市東灘区)では、自宅で下水道見学をしてもらおうと、YouTubeの動画配信をスタートさせました。日ごろ下水処理の仕事をする職員たちが自ら制作したという今回の動画。下水道を守る戦隊ヒーローが登場するほか、下水道への愛が随所に盛り込まれたマニアックな内容に仕上がっています。神戸市建設局・東水環境センターの担当者に詳しく話を聞きました。
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――今回の動画は「下水道×アート×SDGsプロジェクト」の一環とのことですが、どういった取り組みなんですか?
下水道の広報活動のひとつです。下水道の広報には、3つの課題がありました。1つ目は、コロナ禍で下水処理場の見学者が激減していること。新しい処理場の見学形態が求められているのではないかということで、今回動画を作成することにしました。2つ目は、下水道のイメージが少し悪いということ。そこで、アートの力を借りて下水道の魅力を発信していこうとしました。3つ目は、様々な先進的な取り組みをしている東水環境センターですが、今回は世界の共通目標であります「SDGs」を用いてPRしていこうとしています。大きなプロジェクトですが、楽しみながら取り組んでいます。
――そもそもなんですが、下水ってどんなふうに処理されているんですか?
下水処理の基本的な仕組みとしては「沈殿させる」ということと「微生物によって処理をする」ということに分かれます。「スープ」を思い浮かべてみてください。具とお汁がありますよね。下水の汚れもスープと同じようなもので、目に見えるような汚れの固形物は沈殿処理によって取り除いていきます。水の中には溶け込んだ汚れもありますので、その目に見えない汚れを処理してくれるのが微生物なんです。
――私たちは微生物に助けられているんですね。この「下水処理」はいつ頃から行われてきたんですか?
下水道はかなり古くからあったらしいですが、今のような方法になったのは19世紀の産業革命以降といわれています。当時はコレラの蔓延がありましたが、イギリスで最初に下水道を整備し、コレラの蔓延を防ぎ、私たちの生活、そして衛生環境を良くしていこうという取り組みであったと聞いています。