赤穂以外の県境周辺で話を聞くと、方言で県境を意識することがあるという人がいた。佐用町の男子学生は「岡山県側に面接に行った際に何を言われているかわからず、何回も聞き直した」。この地域の岡山県側の人も「言葉が違うから意識する。(佐用は)関西圏、岡山は中国圏だから」。また、この地域で有名なB級グルメ「ホルモン焼きうどん」も食べ方が違う。佐用はつけだれ、岡山・津山はタレを焼き込む。一見わからないところでも、小さな「境」は存在するようだ。
一方で、共通の問題を抱えている。それは、「過疎」。岡山県西粟倉村にある、地元の木材を使ってオリジナル楽器を作る工房は廃校を利用している。このような施設は他にもあり、工房やレストランなどが運営されているが、子どもが少なくなり、過疎が進んでいるといえる。
兵庫県佐用町に西新宿という集落がある。「新宿」と聞くと、東京の大都会というイメージが大きいが、佐用町西新宿は10世帯15人で、最年少は75歳。「90歳前後のひとり暮らしのお姉さん」が主流だ。「この地域には花菖蒲園がある。全国で花菖蒲園が衰退の一途をたどり閉園が相次ぐ一方、頑張って守っている」とは、最年少・75歳の男性。菖蒲園には「幸せの鐘」がある。この鐘は山の上の寺にあったもの。集落で管理していたが、高齢化が進み山の上まで行くことが難しくなったため麓に移設した。
県境に関係なく考えなければならない問題がある。
※この記事は2020年12月27日放送、ラジオ関西制作『BORDER~ヒョーゴスラビアにおける県境とは』をもとに、再構成しました。
◆『BORDER~ヒョーゴスラビアにおける県境とは』アーカイブ記事
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(3)但馬…獅子舞と“ステッカー”がつないだ地元意識
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