ライバル意識バチバチの兵庫と京都 でも“大河”では結束 「ヒョーゴスラビア」における県境とは (4)丹波

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 日本列島、本州を陸路で縦走しようとすると、必ず通らなければならない県が1つだけある。それが兵庫県。北は日本海、南は瀬戸内海、淡路島の向こうには太平洋と、本州で2つの海と接しているのは、両端の青森県、山口県を除くと兵庫県だけだ。

 兵庫県はかつて、摂津・丹波・但馬・播磨・淡路の旧五国から構成され、多くの文化が入り混じっていた。それは現在にも受け継がれ、特色あるそれぞれの文化が存在する。2010年代には「ヒョーゴスラビア」という表現が登場した。かつてヨーロッパにあった多くの文化が混ざり合った国「ユーゴスラビア」になぞらえたものだ。

 2020年からのコロナ禍で、日本では「都道府県をまたいだ移動の自粛」が求められ、これまで以上に「県境」が意識されるようになった。では実際はどうなのか? 県境付近に住む人の意識は? 兵庫県「ヒョーゴスラビア」の旧五国ごとに県境付近を訪ね、そこに住む人の思いに迫る。第4回は、「丹波」。

<その4>丹波

 大規模な古墳、旧石器時代の遺跡、さらには白亜紀の恐竜化石(丹波竜)まで発見されるエリア、丹波。但馬国の東と同じく京都府と接する。丹波篠山という名称、丹波の黒豆、栗、マツタケは全国的に高い知名度がある。

 丹波と名のつくのは、兵庫県丹波篠山市、丹波市、京都府京丹波町。兵庫県側と京都府側。それぞれ丹波を意識する。

 兵庫県側では、「丹波といえば篠山。篠山が丹波。京都と違う。京都が丹波をとったらあかん(笑)」「丹波といえば篠山。丹波篠山は昔からその名前が通っている」。京都・京丹波町では、「丹波、丹波篠山というように取り上げられるが、それに負けない」。……意識している。

 そして丹波といえば、黒豆。「篠山は粒が大きい」「丹波市の方がおいしい」とは兵庫県側。京都府側は「丹波篠山に負けない。安くておいしい」と。ここでも意識している。

「兵庫・神戸のヒストリアン」として活躍する歴史家の田辺眞人・園田学園女子大学名誉教授によると、「もともと丹波には6つの郡があった。そのうちの東4つが京都府、西2つが兵庫県になった。人間というのは自分中心的な考え方があり、兵庫の人は、大きい方の東の丹波を『丹波』とは言わない。自分たちが丹波だと思っている。京都側は『京丹波』と、前に『京』という形容詞をつけて呼ぶ。京都の丹波の人たちは、兵庫側を『奥丹波』という。お互い競いあう一方で、丹波の人間という共通点もある。NHKの大河ドラマで明智光秀が描かれたが、舞台となった兵庫側の丹波と京都側の丹波では微妙な関係だった。でも光秀を主人公にした大河ドラマの制作をと働きかけたのは、両方の丹波の人たち。共同して行動を起こした」。なかなか奥が深い地域と言える。

 取材を行ったラジオパーソナリティーの谷五郎さんと冨島隆則ディレクターは、「とにかく丹波のネームバリューは相当なもので、丹波を意識している人が多かった」と振り返った。

※この記事は2020年12月27日放送、ラジオ関西制作『BORDER~ヒョーゴスラビアにおける県境とは』をもとに、再構成しました。


『BORDER~ヒョーゴスラビアにおける県境とは』アーカイブ記事
(1)淡路…淡路に「阿波踊り」の文化が残る地域も?!
(2)播磨…「備前」なのに、兵庫!?
(3)但馬…獅子舞と“ステッカー”がつないだ地元意識

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