《東日本大震災10年(2)》住む土地を知る「災害対策に終わりなし」日本地震学会・西影裕一さん | ラジトピ ラジオ関西トピックス

《東日本大震災10年(2)》住む土地を知る「災害対策に終わりなし」日本地震学会・西影裕一さん

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宮城県名取市・仙台空港 北北東から 震災1か月半後には航空機が運航されていた<2011年5月3日撮影>
宮城県名取市・仙台空港 北北東から 震災1か月半後には航空機が運航されていた<2011年5月3日撮影>

 平野部には旧河道と呼ばれる、かつて河川だった場所(流路が変わって水が流れなくなった結果できたもの)があり、現在は埋められて平地になっている場所が多い。土地が開発される以前の航空写真を見ると一目瞭然だが、開発されるとほぼわからなくなってしまっている。旧河道は周囲よりわずかに低いため、河川氾濫があると旧河道に氾濫水が集まってくる。だから注意が必要だ。また、地下水が流れているため、場合によっては地震時に液状化現象が起こることもある。液状化現象は海岸付近だけで起こるのではない。

◇山間部では

岩手県大槌町に設けられた献花台<2013年10月26日撮影>
岩手県大槌町に設けられた献花台<2013年10月26日撮影>

 国内では年間1000か所以上で土砂災害が発生している。山地にある家の住人は普段から常に自分が住んでいる地域の斜面に注意を払い、山崩れ・がけ崩れが起こらないか普段から注視しておくこと。がけにひび割れがある、小石が落ちてくる、音がする、樹木が傾く、腐った土の臭いがする、地鳴りがする等の前兆現象に気がついたらすぐに避難を。驚くべき事実だが、日本国内には、土砂災害警戒区域(yellow zone イエロー・ゾーン)が51万か所、土砂災害特別警戒区域(red zone レッド・ゾーン)が36万か所もある。

宮城県南三陸町・防災対策庁舎の献花台<2013年3月24日撮影>
宮城県南三陸町・防災対策庁舎の献花台<2013年3月24日撮影>

 東日本大震災では、震源から遠く離れた仙台市の山地に造成された宅地で地盤ごとずれた地域があった。普通、山は「尾根と谷」がセットになっている。尾根を削り、その土を谷に埋めて平らに造成して家を建てる。尾根を削った土地は岩盤なのでしっかりしているが、盛土の場合は柔らかいため、仙台市の例のように地震や大雨の時にずれるのである。国土地理院発行の地図で、開発前の時代のものを見ると尾根や谷がよくわかる。

宮城県気仙沼市で<2013年10月27日撮影>
宮城県気仙沼市で<2013年10月27日撮影>

 地震発生直後はまず、読んで字のごとく「自助(自分のことは自分で守る)」、時間を少しおいて「共助(互いに助け合うこと)」である。そのためには、ふだんから近隣どうしのコミュニケーションを取り、人間関係を作っておくことが重要になる。とにかく一番大切なことは命を守ることである。そして災害時ではいかに迅速に情報共有ができるかが問われる。また、コロナ禍での巨大地震は複合災害ともいえる。このケースでの想定もしておかなければならないので、応援態勢を組織化できることが大切だ。

被災地・三陸海岸を支援する大学生たち コロナ禍で現地との接点が激減した
小学生の男子を図示、津波をイメージ 実際はこれ以上の高さの津波を想定しなければならない
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