北海道胆振東部地震(2018年9月6日発生)では北海道内の全ての発電所がストップしたため、北海道全域で停電した。これが「ブラックアウト」と呼ばれる現象である。停電により、エレベータ停止・断水・通信障害・物流停止などライフラインが完全にストップした。さらに地震に対する不安と、情報が得られないために先が見えない不安があった。地震の際に局所的な停電はよくあることだが、これほど広域で停電が起こるのは日本で初めてのことだった。
北海道は、東西には松前港~知床岬にかけて約500㎞の直線距離がある。また、南北は宗谷岬~襟裳岬にわたる約400㎞の直線距離がある。東西約500㎞の直線距離は、おおよそ東京駅から大阪を越えて岡山市まで。人口はさておき、北海道のこうした直線距離は、東京・大阪間より長いのだ。東京~大阪間がすべて停電になったことを想像すると、いかに大変な出来事だったが理解できよう。
災害対策に終わりはない。さまざまな想定を次々に考えなければならない。
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◆西影裕一(にしかげ・ひろかず)姫路市立小中学校で教諭や校長を務め、2014年に退職。教職の傍ら、大学で学んだ地質学と地震学の研究を続け、山崎断層帯の調査は30年以上。その結果を冊子にまとめるなどしている。日本地震学会会員。