猛暑到来。ラジトピでは『冷菓涼爛((ひゃっかりょうらん)』見た目にも涼しさ爛漫、夏の関西(京都・大阪・神戸)の和菓子を取り上げる。
![祇園祭「後祭」山鉾建て(鯉山・室町六角 2021年7月20日)](https://jocr.jp/raditopi/wp-content/uploads/2021/07/%E7%A5%87%E5%9C%92%E7%A5%AD%E3%83%BB%E9%89%BE%E7%AB%8B%E2%91%A0%E3%80%80%E9%AF%89%E5%B1%B1-1024x768.jpg)
新型コロナウイルス感染防止のため、祇園祭のハイライト「山鉾巡行」が2年連続で取りやめとなった京都。巡行と神輿(みこし)渡御は昨年同様中止されるが、前祭と後祭(あとまつり)の計33基の山鉾のうち、17基で山鉾建てがあった。
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■昭和のハイカラ、令和にレトロ
コロナ禍で外出もはばかられ、「おうちで過ごす気持ちの余裕が出てきはったのと違いますか」と話すのは、烏丸通の東、高倉六角の老舗「大極殿本舗」の女将、芝田泰代さん。大極殿の夏の名物は「レースかん」と呼ばれる、レモンの輪切りも鮮やか、爽やかな酸味の透き通る羊羹(例年5月~9月発売)。
![「レースかん」(大極殿本舗 Instagram)1日に100本近くが店頭に並ぶ](https://jocr.jp/raditopi/wp-content/uploads/2021/07/%E5%A4%A7%E6%A5%B5%E6%AE%BF%E3%89%93%E3%80%80%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%81%8B%E3%82%93%E5%85%A8%E5%AE%B9-%E3%81%95%E3%82%89%E3%81%AB%E3%82%BA%E3%83%BC%E3%83%A0.jpg)
まだレモンが珍しかった昭和初期に、三代目・芝田治三郎氏が創作した。「当時、”レース編み”を見た三代目が”インスピレーション”で考えましてん。ハイカラですやろ。今ではレース編みはレトロですけどね」。
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泰代さんは「レースかんは、アクが抜けた糸寒天を炊いて、その餡を箱に流してレモンの輪切りを並べる、それだけなんです。ごく自然な作り方ですわ(クチナシの実で淡く色付けするだけ)。でも、よそさんにはできない技ですよ」と自信を語る。 竹の風合いが涼しげな“すだれ”で巻かれ、ほんのりレモン色の紙と、「レースかん」と手書きで書かれた短冊が銀色の細い紐でくくられている。包装を解くと、甘酸っぱいレモンの香りに包まれ、蜜がしたたり落ちる。 輪切りのレモンの果肉や果皮の繊細な模様がレース編みのように華やかで、透明感のある錦玉羹(きんぎょくかん)が光に反射して輝く。