旧優生保護法(1948~1996年)で障害者らに不妊手術が強いられた問題で、神戸地裁で係争中の国家賠償請求訴訟の原告で兵庫県明石市に住む夫婦に対し、市が犯罪被害者支援条例を適用し40万円の支援金給付を決めた。
この夫婦は、聴覚障害のある明石市内在住の男性(89)と妻(88)。7月、神戸市内で開かれた支援者集会に出席した泉房穂市長から支給決定に関する文書を手渡された夫婦は、手話通訳を介し「私たちのために尽力いただき感謝している。今まで苦しかったが、ありがたい思いだ」と述べた。
強制不妊手術問題をめぐっては2019年、被害者に一時金320万円を一律支給する救済法が議員立法で成立、施行されている。この問題に関して明石市は、手術を受けた本人だけでなく、国の制度で対象外の配偶者にも給付金を支給する全国初の被害者支援条例を検討。だが制定には時間がかかるため、市は独自に制定していた犯罪被害者支援条例の適用による先行支給を検討。今回は、妻が妊娠後に受けさせられた中絶手術で亡くなった胎児の遺族として、夫婦への支援金支給を決めたという。