神戸市北区で2017年、祖父母や近隣住民ら5人を殺傷したとして殺人や殺人未遂などの罪に問われた男性被告(30)の裁判員裁判で神戸地裁は4日、弁護側の「心神喪失」との主張を支持。無罪を言い渡した(求刑・無期懲役)。
裁判長は判決主文の言い渡しを後回しにし、理由の朗読から始めていた。
神戸地裁は被告について「統合失調症の圧倒的な影響下で正常な精神作用が機能しておらず、心神喪失状態だった」と判断した。
刑法39条では「心神喪失者の行為は罰しない。心神耗弱者の行為は刑を減軽する」としている。男は罪状認否で事実関係は認めたものの、弁護側は事件当時、統合失調症により善悪を全く判断できない「心神喪失状態」だったとして無罪を主張、最大の争点は男の刑事責任能力の有無だった。