愛するオリックス、いざ日本シリーズへ「ムード最高!魔法よ、解けないで」神戸大学大学院・木村 幹教授 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

愛するオリックス、いざ日本シリーズへ「ムード最高!魔法よ、解けないで」神戸大学大学院・木村 幹教授

LINEで送る

この記事の写真を見る(11枚)

 ずっと弱かった。「ほんまに優勝するんだろうか?という気持ちがずっとあった。今、眠りから覚めて『今日の時点では5位だよ』と言われても信じてしまうよね」。低迷期が長く、昨年も最下位。あまりにも状況が変わりすぎて、こんなにうまく行くことってあるのか?という気持ちもあるが、中嶋聡監督はじめコーチ陣の手腕はすごいな、というのが率直な気持ちだという。

球団直営店B-WAVE(神戸市中央区三宮町1丁目)リーグ優勝後、訪れるファンは例年の5倍以上とも
球団直営店B-WAVE(神戸市中央区三宮町1丁目)リーグ優勝後、訪れるファンは例年の5倍以上とも

 木村さんに優勝した要因は?と聞くと「雰囲気、ムード!」と即答。実は昨年(2020年)前半までのゲームを球場で観戦していると、ベンチの雰囲気がとても暗かったという。「あの時、声は全然出ていないし。常に沈滞しているイメージ。ミスやエラーがあるとファーム(二軍)行き、という流れだったように思う。それがなくなってからチームは変わった」と振り返る。

「大学院生を教えている立場で言うと、野球選手は学生とほぼ同世代。大学卒のルーキーは修士課程の学生。僕の経験上、20代の学生は褒めると飛躍的に伸びる。チャンスを与えて、そこで結果を出したときに(中嶋監督は)すごく褒めているんだと思う。ダメなときに選手を叩くのは簡単なこと」

「震災後の神戸、もっと知りたくて」神戸大に赴任したのは日本一の翌年、1997(平成9)年
「震災後の神戸、もっと知りたくて」神戸大に赴任したのは日本一の翌年、1997(平成9)年

 例えば、中嶋監督はショートの紅林弘太郎選手(2019年ドラフト2位・内野手 19歳)にずっと付きっきり。これ、ひとつ間違えると他の選手から一気に不満が出る。ベテランが文句を言っても不思議ではないし、同じ内野手で1年上の太田椋選手あたりから「なんでアイツばっかり」と言われそうなものだが、「(優勝という)結果をみると、うまく配慮しているのだと思う。若手を積極的に起用する一方でベテランは腐らさず、という流れを作っている。世代交代をうまく進めている印象がある。やはり雰囲気づくりは大事だ」と話す。

 中嶋監督はキャッチャー出身、阪神の矢野燿大監督も、ヤクルトの古田敦也元監督もそう。守備の要として唯一、ホームからグランド方向を向いている。古くは野村克也さんに森 祇晶さんもキャッチャー出身。「それだけに、全体を見渡せる。いわば中嶋監督はキャプテン的な存在かも」との監督評。

 そして「中嶋監督自身が多くの球団(阪急・オリックス→西武→横浜→日本ハム)を渡り歩いて、仰木彬さんや東尾修さん、栗山英樹さんなど、さまざまな監督を見てきて、その時その時の苦労もあったと思う」と察する。

木村さんは宮崎キャンプにも足を運ぶ T-岡田選手は今季ヤクルトとの交流戦今年のヤクルトとの交流戦では11打数4安打(打率3割6分4厘)、1打点<2019年2月 宮崎キャンプ・木村 幹さん撮影>
木村さんは宮崎キャンプにも足を運ぶ T-岡田選手は今季ヤクルトとの交流戦今年のヤクルトとの交流戦では11打数4安打(打率3割6分4厘)、1打点<2019年2月 宮崎キャンプ・木村 幹さん撮影>

「来シーズン以降、どんなチームになるかはわからないが、今はすごくうまく循環しているし、選手を育てることに関して自信があるんだなと思った。指導者のポジションは本人が自信持たないと、後ろはついて来ない。うまく循環している時は何をやってもうまく行く。それは運がいいという意味ではなく、雰囲気が良いとみんながポジティブになるんですよ」。オリックスの若手選手らが、教え子の大学院生に重なる。木村さん自身も、大学教授としての心境は監督・コーチと同じだという。

LINEで送る

関連記事