2021年、セ・パ交流戦の連勝から、チームはどんどん勢いづいて、変わってきた。良い流れのまま、リーグ優勝、クライマックスシリーズ(CS)制覇に行き着いた。
日本シリーズ、見どころは「やはりオリックス投手陣とヤクルト打線。もっと興味があるのは勝敗よりも、ゲーム運びや采配。中嶋監督はシーズン最後も、CSも投手のローテーションを崩さなかった。きわどい状態でもエースの山本由伸を中4日でも投げさせなかった。そうすると、日本シリーズはどうするんだろう? かつてならば第1戦、第4戦、第7戦というふうに中3日ペース。エースが3勝して、あとは誰かが勝てばいいという感じで。阪急の山田(久志)や近鉄の鈴木(啓示)の時代はそういう野球だった」。今は違う。
ファンとすれば、ここまで来たら日本一を目指してほしいと思うのは当然。でもシーズン通してのやり方を崩して負ければ、とても悔いが残る。
「今シーズンは最終戦ででツーランスクイズや、CSで連続バスターと、普段使わない戦術を最後に使って、最後だけすごく派手なゲーム運びだが、それって今シーズンの野球じゃない。ちょっとずつ、”よそ行き”というか”ハレの日のような”野球になっている」。気になるのはこの点だ。
「もともとは昨年最下位のチームが今年は優勝。でもメンバーはほとんど変わっていない。一番恐るべきは、盛り上がっていても、ある時に魔法が解ける瞬間がある。例えば、実力以上にうまく研究を進めていた学生が、突然、ある先生に厳しく指摘され、気分がへこんでしまうことがある。そんな時、『やはり自分はダメなんだ』と思ってしまうもの」「ソフトバンクや巨人など、コンスタントに優勝争いをしているならば、1回や2回の失敗、どうってことはないと思うが、昨年まで低迷していたオリックスの場合、どこかで歯車が狂ってしまうと、ファンの我々にとっても魔法が解ける瞬間がある」という。
「だから僕としては、第1戦の先発をエース・山本由伸投手(今シーズン18勝5敗)で勝たせてください、と。普通に勝たせてくれたら、流れでそのまま日本一。ただ、最初に博打をする(冒険する)とダメ。博打は打ち続けられない。普通に2勝1敗で最初の3戦を抜けてくれたらと思う。やはり(ヤクルトと比べて)投手陣の安定は強み」と展望する。