旧優生保護法・強制不妊問題 被害者救済の独自支援金、条例案再々提出 明石市・12月議会

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 旧優生保護法(1948~1996年)により障害者らが不妊手術を強制された問題で、兵庫県明石市の被害者支援条例案が9月議会で否決されたのを受け、市は改めて12月議会(11月29日開会)に提出した。 12月6日から一般質問が行われ、条例案は12月21日の本会議で採決が行われる見通し。明石市によると、旧優生保護法の強制不妊手術をめぐる自治体独自の被害者支援条例は、成立すれば全国で初。

修正案についてのパブリックコメントに280件の意見が寄せられ、賛成が267(95%)にのぼった
修正案についてのパブリックコメントに280件の意見が寄せられ、賛成が267(95%)にのぼった

 9月議会に提出された条例案は、旧優生保護法下で不妊手術や人工妊娠中絶を強制された本人とその配偶者に加え、これに準ずる市民に1人あたり300万円の支援金を支給すると規定した。 しかし自民系最大会派が「国家賠償を求める裁判の結論が確定していない、いわゆる係争中の段階で市民の税金を使って補償することには疑問だ」「給付額の300万円の根拠や支援対象となる人が不明確」などとして反対、第2会派の公明党6人は継続審査を求めて退席し、「反対ではないが、市民や第三者の声を聞く手順を踏んでおらず、市長が独断専行している」と棄権した。採決では賛成9、反対12となった。
 市は9月議会の会期中に再び修正案を提出したが、議会が一度議決した議案について、再び同じ会期内に審議できない「一事不再議の原則」に反するとして、いったん廃案となっている。

明石市議会・9月議会での採決<2021年9月29日>
明石市議会・9月議会での採決<2021年9月29日>

 12月議会で提出する条例案では、市が独自に300万円を支援する対象を、
  ▼旧優生保護法によって不妊手術・中絶手術を受けた本人とその配偶者である明石市民とする(「これに準ずる市民」については削除)
  ▼300 万円という金額については、明石市ですでに施行されている犯罪被害者支援条例に準じており相当性がある、としている。

 明石市によると、修正案についてのパブリックコメント(10月20日~11月18日)に280件の意見が寄せられ、賛成が267と大半を占めた。また、医師や福祉団体の代表、弁護士で構成される検討会では11人全員が賛成したという。

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〖賛成意見(一部を抜粋、要約)〗
●子どもが欲しい夫婦にとって、取り返しのつかない出来事。人権無視の旧優生保護法に対する「被害者支援条例」は、一刻も早く制定を
●当事者の方々が攻撃されるなど、(世間との)分断を起こさないよう議会などとしっかり対話しながら取組みを進めていただきたい

【反対意見(一部を抜粋、要約)】
●市の予算から支援金を支出してしまうと、国の賠償責任をうやむやにしかねないので得策ではない
●現在、国と被害者との間で(国家賠償)訴訟が行われている。結果を待っていたのでは救済が間に合わないという考え方もあるが、行政としては現状で定められた(法律での)救済の範囲内で行われるべき。

泉 房穂市長(前列中央)「議会との対話、丁寧に進めて理解を」
泉 房穂市長(前列中央)「議会との対話、丁寧に進めて理解を」

 泉 房穂市長は、「パブリックコメントでは多くの市民から制定を求める声が挙がった。改めて議会の理解を得ていきたい」とコメントしている。

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