27年目の「1.17」、祈りの朝が来た。 27年前のこの日、夜明け前の暗闇、張り詰めた冷たい空気を切り裂くような激震が襲った。やがて陽が昇り、昨日までとは異なる光景を目にした。 関西で、神戸で大地震が起きると誰が想像していただろうか。 この現実を受け止めるには、時間が必要だった。
そして震災翌年に神戸に生まれた女性は、あまりにも身近な、日常のこととしてとらえすぎて、むしろ実感が湧かない日々を過ごしていた。
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シリーズ第2回で登場するのは、阪神・淡路大震災の翌年・1996年に神戸市垂水区で生まれた東山詩奈さん(25)。京都の観光名所、嵐山近くのパワースポットとして人気のある「車折(くるまざき)神社」の神職としての日々を送る。高校卒業まで神戸の街で育った。
1996年、4月に「そごう神戸店(神戸市中央区・現在は神戸阪急)」が全面再開、6月には神戸東部新都心(HAT神戸 神戸市中央区・灘区)の建設が始まった。7月には2年ぶりに神戸まつりが復活し、8~9月に被災地内の交通規制が全面解除、阪神高速道路神戸線が全線開通といった復興への槌音が少しずつ聞こえた。
そして被災地に大きな希望をもたらしたのは、プロ野球・オリックスブルーウェーブ(当時)が日本シリーズを制し、サッカー・ヴィッセル神戸がJリーグ昇格というスポーツの話題だった。オリックスは昨年(2021年)、日本シリーズに出場(バファローズとして旧近鉄と合併後としては初)。この年以来、実に四半世紀ぶりのことだった。
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