日本人の「米離れ」が叫ばれる昨今。昔は神戸市須磨区だけでも80軒弱の米屋が存在していた時期もあったが、今は10軒ほどに減ってしまっているという。そんな中の1軒が、大正時代に創業し、創業100年を超えるお米屋さんである「ごばん米穀店」(神戸市須磨区)。その3代目、碁盤洋祐さんに店のこだわりやお米のおいしい炊き方などを聞いた。
ごばん米穀店では、丹波篠山のこしひかりや宮城県産のつや姫のほか、長野県から仕入れる皇室献上米などたくさんの種類の米を取り揃えている。昔は天日乾燥でお米に甘みが多かったが、今は収穫後に機械を使用して乾燥させているものも多く、品質が劣るものも多いそう。碁盤さんは品質の高いものを吟味して取り揃え、顔がわかっている農家さんと提携しながらお米を安く購入。お客さんに少しでも安く買い求めてもらえるように努力しているという。
そんな碁盤さんが米をおいしく炊くコツについて、次のように語る。
「昔と違い、今は使っている機械がいいのでそこまで何度も研ぐ必要はありません。むしろ、米の研ぎ汁が透き通るくらいまで米を研いでしまうと味も飛んでしまいます。回数で言いますと3、4回ほど研げば結構です。そして、炊飯をする前にしっかりと水に浸しておくことがおいしさの秘訣です。今のような寒い時期には1時間から1時間半ほど浸しておいてから炊くようにするとよりおいしく炊きあがります。夏場であればもう少し短い時間でも構いません」
さらに炊きあがったあとにもポイントがあるという。
「そのまま置いておくと蓋についた水滴が米に落ちてきてしまうのでよくありません。炊き上がればすぐに蓋を開けて、中に空気を入れるようなイメージでしゃもじで米をほぐしていくようにするのがポイントです。そうしたあと、余分な水蒸気を飛ばすために再度、炊飯ボタンを押して1、2分ほどしたら停止して下さい。以上のようにして炊くと、米のおいしさを最大限に引き出すことができます」
お店は地域とのつながりも深く、近くの小学校に通う生徒が毎年、職業体験をしにやってくる。
「そこで様々なお話をしたり、お米をついてもらったりして米屋の仕事を体験してもらいます。職業体験の期間が終わった後に、子どもさんの感謝の作文をもらったりするのがうれしいです」
※ラジオ関西『こうべしんきん三上公也の企業訪問』2022年1月4日放送回より
【2022年1月4日放送回…放送音声】