「コロナ禍がなければ、この商品は誕生しなかったです」。
駅弁、仕出しを手掛ける関西の老舗「まねき食品」(兵庫県姫路市)の営業第一部長・岩本健司さんは、確実に手ごたえをつかんでいた。
2021年11月26日に販売がスタートした「まねき食品×崎陽軒 関西シウマイ弁当」が売れている。
1日の販売は150個に限定(発売当初は1日100個)、これまでの累計販売個数は、3か月足らずで約1万に。毎日が「販売前から売り切れ必至」。JR姫路駅構内(午前9時~)や、まねき食品本社前のドライブスルー(午前10時~)で、このシウマイ弁当を買い求める人の数が、用意した数を優に上回っているのだ。1日2回、整理券を配らなければならないほどの盛況ぶり。
構想が現実のものとなるまで1年8か月。業界での西の老舗・まねき食品が、東の雄・崎陽軒の胸に飛び込んだこの企画、しかも崎陽軒の顔とも言える横浜名物”シウマイ”を関西風にアレンジするのだから、幾重のハードルを越えねばならなかった。誕生までトップシークレットだった。
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まねき食品は1888(明治21)年、兵庫県姫路市で創業。現在のJR姫路駅近くで茶店を開いた。この年の山陽鉄道開通に当たり、創業者・竹田木八が、その翌年から弁当の販売を始めた。これが我が国で初めて販売された「幕ノ内駅弁」。