美空ひばり、ちあきなおみ、岩崎宏美、そして……。超絶の歌唱力で昭和の音楽シーンをいろどった昭和の歌姫たちを、シンガーソングライターで音楽評論家の中将タカノリと、シンガーソングライターでTikTokerの橋本菜津美が、ラジオ番組で一挙紹介しました。
【中将タカノリ(以下「中将」)】 今回のテーマは昭和の歌ウマ女性歌手! 時代を彩った超絶歌唱力の歌姫たちを紹介していきたいと思います。菜津美ちゃんにとって歌がウマい女性歌手ってどんな人ですか?
【橋本菜津美(以下「橋本」)】 圧倒的なのはMISIAさんかなと思います。最近出てきた人たちの中では、あいみょんさんもサラっと上手に歌ってますよね。
【中将】彼女は歌い方の幅が広いし、昭和な情緒あるフィーリングも持ってますよね。
昭和にもいろんな歌ウマさんがいましたが、よく語られるのは美空ひばりさんでしょうか。1963年に再録したバージョンの「リンゴ追分」(※オリジナルは1952年)を聴いてもらうと、その卓越した歌唱力がよくわかります。
「歌謡界の女王」と呼ばれたひばりさんですが、デビューは1946年、9歳の時。大人っぽい歌を歌ったので、詩人のサトウハチロ―さんに「近頃、大人の真似をするゲテモノの少女歌手がいるようだ」なんて酷評されたりもしましたが、実力とお母さんの猛烈なマネジメントで音楽シーンの頂点にのぼりつめました。
【橋本】 これは納得です。ひばりさんの曲はいくつか知っていますが、声色の使い分けというか、歌い方のバリエーションがすごく広いですよね。
【中将】 演歌のイメージが強いひばりさんですが、もともとはジャズやポップスまで幅広く歌っていました。リズムや音程に強くて、歌い方のバリエーションも広いのはその賜物でしょうね。
バリエーションといえば、ちあきなおみさんもすごいです。「四つのお願い」(1970)や「喝采」(1972)みたいな正統派な曲も有名ですが、フォークシンガー友川かずきさんが提供した「夜へ急ぐ人」(1977)では闇の中から這い出すようなすさまじいシャウトを披露しています。もはや歌謡曲という範疇から外れてるような……。