【高道】 都倉先生は初め、僕たちが歌う野口五郎さんの「私鉄沿線」(1975)のデモテープを聴いてくれたんだよね。だから「あずさ2号」はあの独特の土臭い歌謡曲みたいなイメージで書かれていると思います。当時、都倉先生はピンクレディーなどポップなものを手掛けることが多かったので、僕たちに関しては少し違う路線でやりたかったんじゃないでしょうか。
【中将】 当時、野口五郎さんと言えば郷ひろみさん、西城秀樹さんと並んで新御三家と呼ばれるトップアイドルの1人でしたが、音楽的にはかなり演歌っぽい要素がありましたね。デビュー曲の「博多みれん」(1971)に至ってはド演歌ですし。
【高道】 「恋を拾って また捨てて~♪」ってね(笑)。子どもの頃、レコード買いましたね。
【橋本】 ぜいたくな歌声でした(笑)。
【中将】 先にお話に出ましたが、やっぱり「私鉄沿線」はポップスと演歌の中間にあるという意味でかなりフォーク演歌要素が強い曲ですよね。
【橋本】 「私鉄沿線」はザ・歌謡曲なんだと思っていましたが、これもフォーク演歌になるんですね!
【高道】 イントロはかっこよくしているけど、歌い始めるとまさにフォーク演歌って感じだよね。
【中将】 失礼な表現かもですが、このウジウジして貧乏くさい歌詞もいかにもフォーク演歌ですよね(笑)。
【高道】 やっぱり時代背景だね。日本はまだまだ貧しかったから。当時は風呂のある家なんてあまりなくて、みんな銭湯に行ってたものね。
【橋本】 えっ! 高道さんも銭湯に行ってらしたんですか?