【中将】 当時のキャッチフレーズは「抱きしめたい ミスソニー」。資生堂の「エクボ洗顔フォーム」CMモデルのオーディションを受けたものの肝心のえくぼが出ずに不合格。代わりに事務所のプッシュでCMソングを担当することになり作られたのがこの曲です。はじめは振るいませんでしたが同時期に田原俊彦さんらと『レッツゴーヤング』(NHK)のユニット「サンデーズ」のメンバー入りして認知度を高め、最終的にオリコンウイークリーランキング12位、年間ランキングで50位を記録するヒットになります。
【橋本】 「これぞ芸能界!」って感じのキラキラしたデビューですね……うらやましい!
【中将】 一方、明菜さんはお母さんの影響で子どもの頃から歌手に憧れていたそうで、1981年7月11日にオーディション番組『スター誕生!』(日本テレビ)に出場し、史上最高得点の392点で合格。研音、ワーナー・パイオニアと契約して1982年5月1日にシングル「スローモーション」でレコードデビューします。当時のキャッチフレーズは「ちょっとエッチな美新人娘(ミルキーっこ)」……ちょっと意味わかりませんね。
【橋本】 何それ……ミルキーって(笑)。でもデビュー曲なのにあんまりアイドルっぽくない曲なんですね。どちらかと言えばシンガーソングライター色が濃いような。
【中将】 たしかに聖子さんみたいにキャピキャピした感じじゃなくて落ち着いてますね。作ったのは来生えつこさん、来生たかおさんのコンビですが、いかにもな感じで上品です。シングルとしてはオリコンウイークリーランキング30位とさほど振るいませんでしたが、収録アルバム「プロローグ〈序幕〉」は5位まで上昇と堂々のヒットでした。
~聖子・明菜 一番ヒットした曲は?~
【中将】 デビュー以降、とんとん拍子に歌謡界の頂点に上りつめてヒット曲を連発したお二人ですが、次は一番ヒットした曲について考えてみましょう。
公表されている売上枚数だけで比べると聖子さんの最大のヒットは「あたなに逢いたくて~Missing You~」(1996)、次が「ガラスの林檎」(1983)になります。だけど全体のレコードセールスは年々大きく変化するので、それだけを基準にするのはいかがなものかなと。なのでいろいろ考えた結果、僕は聖子さんがオリコン年間ランキングで自身の最高位を取った「Rock'n Rouge」(1984)が最大のヒットだと判断しました。1984年度の年間3位を記録した曲です。
【橋本】 大好きな曲ですけど意外ですね……。「青い珊瑚礁」(1980)や「夏の扉」(1981)、「赤いスイートピー」(1982)あたりなのかと思ってました。
【中将】 それぞれ大ヒットに違いないんですけどね。特に菜津美ちゃんが挙げた曲は後からリバイバルしたりCMで使われることも多いので、イメージが上書きされているという要素も考慮したほうがいいかもしれません。