【橋本】 なるほど! 私もぜんぜんリアルタイムじゃなくて母の影響で聴いてるので、数字じゃなくイメージだけで捉えてました。
【中将】 一方、明菜さんの一番ヒットした曲についてです。明菜さんは「ミ・アモーレ」(1985)、「DESIRE -情熱-」(1986)、「TANGO NOIR」(1987)の3曲がオリコン年間ランキング2位になっています。このうち「ミ・アモーレ」、「DESIRE -情熱-」はそれぞれその年のレコード大賞受賞曲で売り上げはそれぞれ63万枚強と51万6千枚……ということで総合で「ミ・アモーレ」が一番売れた曲と判断しました。
【橋本】 この曲は明菜ちゃんにうとい私でもわかります! でも「スローモーション」と同じでアイドル色は薄いですよね。歌い方にも本格的なシンガーみを感じます。
【中将】 イメージの打ち出し方や、それぞれどんな作家が付いていたかというのも聖子さんと明菜さんの違いでしょうね。はつらつとして積極的に恋愛に挑む女性……みたいな聖子さんのイメージを形作ったのは初期の作詞を手がけた三浦徳子さん。「白いパラソル」(1981)以降の作詞を手がけた松本隆さんはもうちょっとメルヘンチックな作風ですが、基本イメージは踏襲されます。
一方、明菜さんは比較的いろんな作家がシングルを手がけているんですが、ちょっとおませだったり不良っぽいクールなイメージは一貫しています。井上陽水さんや玉置浩二さん、加藤登紀子さんといった気鋭のシンガーソングライターやミュージシャンも多く起用して、アイドルソングみたいな路線は早々に脱却して本格シンガー路線に移行しています。
~聖子・明菜 最もファンに聴かれる曲は?~
【中将】 最後に比較するのは最もファンに聞かれている曲です。音楽配信サイト「レコチョク」のデータを元に、今どの曲が一番聴かれているのか調べたんですが……これがまたわかりやすすぎました。菜津美ちゃんは聖子さんの一番はなんだと思いますか?
【橋本】 私が一番好きなのは「小麦色のマーメイド」(1982)です!
【中将】 ブーです(笑)。 答えは「瑠璃色の地球」(1986)でした。聖子さんは郷さんと破局したちょっと後、1985年6月24日に神田正輝さんと結婚します。そして年末の『第36回NHK紅白歌合戦』の出演以降、出産準備のため約1年間テレビ出演などの芸能活動を休止するんですが、この曲は妊娠中にレコーディング、発売されたアルバム「SUPREME」収録曲になります。アルバム曲なんですが人気が高く、本人も気に入っているようで紅白歌合戦でも3回披露されてますね。
【橋本】 これはいい曲ですよね……。私の母も一番好きだと言ってました。でもアイドルが結婚して妊娠中にレコーディングした曲って、ファンの人たちは複雑じゃなかったんでしょうか?