---実際に受けた相談で印象に残っていることはありますか。
【曽我弁護士】 学校で、友達にあだ名でからかわれ、ショックを受けて学校にいけなくなってしまったという事案がありました。言った本人としては、悪気はなく軽い気持ちで“ただあだ名をつけただけ”という主張で、学校の先生も“あだ名をつけてちょっとからかっただけ”として、大ごととは思っていなかったのですが、言われた側は深く傷ついて“いじめられた”と感じたわけです。二人の関係修復にスポットを当てて取り組んだものの、先生が多忙なため手が回らなくなり、結果的に学校に来られなくなってしまったのです。“あだ名をつける”という一見すると小さな出来事から、大きな問題に発展してしまうことに難しさを感じました。
---そのような場面で、弁護士が介入するのですか。
【曽我弁護士】 弁護士会に「関係調整制度」というものがあります。学校と子どもの間に弁護士が中立的な立場で入り、問題に取り組みます。問題を解決するためには学校の先生に関与していただかなければならないので、問題の重大さを伝え、しっかり取り組んでいただけるように促すこともあります。
また、継続的に見ていかなければいけないこともあるので、スクールカウンセラーの力を借りながら、子どもが立ち直っていくのをそっとサポートしていきます。
---担当するのは、何歳くらいの子どもが多いのでしょうか。
【曽我弁護士】 一番多いのは中学生ですね。10代半ばの多感な時期でもあるので、人間関係の問題も起きやすくなる年頃と言えるのではないでしょうか。弁護士会では、主に小学生から高校生を対象としていますが、中には18歳や19歳の方の相談に乗ることもあります。
---今年の4月には少年法が改定されました。18歳や19歳の権利や責任はどのようになるのでしょうか。
【曽我弁護士】 4月から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたのにあわせて、少年法が改正され、18歳と19歳は『特定少年』と位置づけられました。特定少年については、少年法が適用されるものの、一部、大人に準じた扱いがされるようになりました。社会の少年に対する見方も変わってきているように感じます。
---少年法についてはどのように考えますか?
【曽我弁護士】 少年法というのは、非行を犯した少年に更生のチャンスを与え、立ち直ってもらうというのが大切で、そこにスポットを当てるのが最大のコンセプトだと思います。そのため、今後もそのコンセプトを外さず、非行を犯した少年たちの更正のための法律であらなければならないと思います。