尼崎市大物町の住宅街。リノベーションした長屋にオフィスを構え、地域を盛り上げるべく様々な企画やプロジェクトに取り組む人がいます。株式会社ここにある代表取締役の藤本遼さん(32歳)。大学卒業後、NPO法人での勤務を経て2015年10月に独立。2019年11月「株式会社ここにある」を立ち上げ、場づくりやまちづくりに関する仕事を行っています。
「場を編む人」という独自の肩書きで、既にあるモノ同士を組み合わせていくことによって新たな場を生み出しています。そんな藤本さんに話を聞きました。
――「ここにある」モノを大切にしたい 社名に込めた思い
僕は、自分自身の存在をまるごと肯定できる人は少ないと思っています。だからこそ、明るい未来を思い描いて、その喜びや充実感を先延ばしにするのではなく「今」を生きたい。結果や成果を評価されがちな世の中だけど、別の軸で自分を表現していきたいと考えました。
社名には、今ここにあるけれども価値が見出されていないモノに、何か別の価値がないかを再定義していきたいという思いが込められています。
――「やりたいね」の一言から生まれるおもしろいこと
6年前、「ビールかけをしてみたい」という話から、銭湯でビールかけをするイベントを行いました。大人が20人ほど集まり、水着を着て真剣にビールかけをする……。不思議な光景です(笑)結構疲れましたが、今でも印象に残っていますね。
去年の4月からは、武庫之荘の畑を借りて「武庫之のうえん」というプロジェクトを始めました。1300平米ほどの畑に、近所から遠方の人まで30人ほどが集まり、毎週活動しています。コロナ禍により、日常をどうおもしろくしていくかを考えるようにもなりました。