昭和歌謡は文学だった? 情緒、余白、物語性…現代のJ-POPから失われてしまった歌詞の魅力とは | ラジトピ ラジオ関西トピックス

昭和歌謡は文学だった? 情緒、余白、物語性…現代のJ-POPから失われてしまった歌詞の魅力とは

LINEで送る

この記事の写真を見る(2枚)

【橋本】 私も歌詞を書きますけど、なかなかこんな名フレーズ出てこないですよ……。

【中将】 この曲は当時の国鉄のキャンペーン「DISCOVER JAPAN(美しい日本と私)」第2弾のキャンペーンソングとして作られました。作詞は谷村新司さんですが、タイトルはプロデューサーの酒井政利さんが考案したもので、なんとスポンサーだった日本旅行と日立製作所の名前が織り交ぜられています。

【橋本】 な、なるほど! スポンサーにすごい忖度しながらこんなタイトルや歌詞を作るって天才過ぎますね! 普通なら文学性か商業性かどちらかに偏っちゃって、“いかにも”な感じか的外れなものしかできないですよね。

【中将】 そのバランス感が名曲と呼ばれる昭和歌謡たちの魅力なんでしょうね。谷村さんはこれ以外にもアリス時代の「チャンピオン」(1978)や「秋止符」(1979)、ソロで歌った「昴」(1980)のように文学的な名曲が多いですが、明治時代の詩人、石川啄木の影響を強く受けていることは有名です。

 当時、フォークシーンからも多くの文学的名曲が生まれましたが、武田鉄矢さん(海援隊)の「思えば遠くへ来たもんだ」(1978)も個人的に大好きな曲です。

【橋本】 これも素敵な曲ですね!

【中将】 人生って旅なんだな~としみじみ思わせられる曲ですよね。こういう曲が生まれた時代に比べると、現代は少し便利になりすぎて、旅とか出会いと別れのインパクトが薄くなっているのかもしれません。

 ちなみにこの曲も「いい日旅立ち」と同じ国鉄のキャンペーンソングとして作られたんですが、コンペで落ちてしまったという悲しいエピソードがあります。これはこれでヒットして、曲を元にした映画やドラマまで制作されたから結果オーライだったんですけどね。

 さて、谷村さん、武田さんときたらこの人を紹介しないわけにはいかないと思います。さだまさしさんで「案山子」(1977)。

【橋本】 谷村さん、武田さんとは違って、けっこう丁寧に風景を描き出す歌詞ですよね。登場人物たちのふれあいが絵になって浮かんでくるような気がします。


LINEで送る

中将タカノリ 橋本菜津美の 昭和卍パラダイス | ラジオ関西 | 2022/09/25/日 27:00-27:30

放送後1週間聴取可能、エリア内無料 radikoプレミアム会員はエリア外聴取可

関連記事