もともと『美顔水』は『美顔(ビガン)』としてシリーズ化されていた。「メンズ美顔水」、「美顔石鹸」のほか、大容量(通常サイズの約1.8倍・160ml)もある。2022年度は「洗顔フォーム」が加わり、来年(2023年)にも新たなアイテムの発売を予定している。
日本の場合、諸外国と比べてマスク着用率が高いといわれる。2022年冬、コロナとインフルエンザの同時流行・同時感染の懸念もあり、いったん浮上した「脱マスク」の動きにブレーキがかかった。
コロナ禍3年目となり、行動制限が緩和されたが、それでも化粧品全般、とりわけカラー商材と呼ばれるアイメイクやリップクリームに関しては「外出しないから使わない、だから買わない」という負のスパイラルで、売り上げを大きく落とした化粧品メーカーもあるという。
重要なのは、「今、本当に消費者ニーズに応えられているのか?」という点だった。美白やモチモチした肌など「こうありたい」という希望に沿う考え方ではなく、肌の悩みに対して、どう対処できるかという点をスピーディーに対応できたのが大きかった。その悩みは「マスクによる肌荒れ」、「シミ・くすみ」だった。マスクをすることによって「蒸れ」が生じ、皮脂や角質が毛穴に詰まると、「アクネ菌」が繁殖して二キビになる。季節は問わない。
一方でマスクを外したくても外せない、という女性が増えているという。脱マスク、いつかやってくるだろうと思ってはいたが、いざ外すとなると……切実な思いに駆られている。
■他社が真似できない『美顔水』、香りの主張
SNS時代、コスメ商品の情報拡散、口コミによる評価はダイレクトに伝わる。『美顔水』はツイッターで大きく広がった。130年以上、処方を変えることがない『美顔水』は、発売当時から含有されている成分もあり、他社が真似することもできない特徴ある香り。調香師が作り出す、レモンのような、ヒヤシンスのような、あるいはゼラニウム(テンジクアオイ)や樟脳のような香りが「おばあちゃんのおうちの香り」「墨汁の香り」などとつぶやかれた。そして、そんな香りの『美顔水』を愛しているというメッセージにつながっていく。
社内で女性社員が、そのフタを空けたことがわかるぐらい、特徴的な香りがする美顔水。明色化粧品はツイッターで「どんな香りが好みなのか」と消費者に呼び掛け、意見を求めた。香りをテーマにコミュニケーションし、リサーチにつながった。