私たちの食卓に欠かせない野菜や肉などの“農林水産物”。その元には、おいしくて安心・安全なものを届けようと日々努力を続ける生産者がいます。生産コストの高騰により苦境に立たされている兵庫県内各地の生産者を、兵庫五国(摂津・播磨・但馬・丹波・淡路)の直売所や道の駅をめぐって取材する5回シリーズ。最終回は「播磨」です。
兵庫県の西南部・たつの市にある直売所『旬彩蔵たつの』。建物には兵庫県内産の木材を使用しており、木のぬくもりが感じられます。
店内には、白菜やキャベツ、ブロッコリーなど旬の朝採り野菜をはじめ、パンやお菓子などの加工品や、色鮮やかな切花も並びます。
なかでも目に留まるのが立派な大根。たつの市御津町(みつちょう)の「成山新田(なりやましんでん)」は、大根の産地としても知られています。
大正時代に開拓された成山新田。海岸や河口、湖沼などを堤防で仕切り、内側の水を取り除いて陸地にした干拓地(かんたくち)で、砂地の特性を生かした農業がおこなわれています。そんな成山新田は、大根と人参の“国指定産地”にも選ばれています。
同直売所の浅田秀樹店長は、「『旬彩蔵たつの』は、地元の人にとっての冷蔵庫のような存在」と話します。毎日新鮮な野菜が手に入るため、買いだめするのではなく頻繁に足を運ぶ人が多いそうです。