関西二大霊峰、座主はともに兵庫から 高野山金剛峯寺・第415世 長谷部真道座主が就任披露 兵庫・香美町出身 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

関西二大霊峰、座主はともに兵庫から 高野山金剛峯寺・第415世 長谷部真道座主が就任披露 兵庫・香美町出身

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 高野山真言宗総本山・金剛峯寺(和歌山県高野町)で9日、第415世座主に就任した大乗寺(兵庫県香美町)住職、長谷部真道(はせべ・しんどう)大僧正(84)が就任を披露する晋山式(しんざんしき)が行われた。弘法大師・空海から数えて415代目の最高位。2022年11月に就任した。任期は4年間で、高野山真言宗の管長を兼ねる。

弘法大師・空海へ座主就任を奉告する長谷部真道・総本山金剛峯寺第415世座主<2023年3月9日午前 和歌山県高野町 金剛峯寺>
金剛峯寺・大広間には弘法大師・空海の御影(みえい)が掲げられた

 長谷部座主は1938(昭和13)年12月、兵庫県美方町(当時)に生まれた。生家は江戸時代の天才絵師、円山応挙一門が描いた襖絵が数多く残る大乗寺。「応挙寺」とも呼ばれている。

 長谷部座主は、座主に就任したことを弘法大師に奉告する「晋山奉告文」のなかで、悩みが尽きない青年時代を振り返り、「長じて青春に暗夜深く、無明の行路に沈みて不幸を重む」と述べた。
 12歳年上の兄が視覚障がいを持ち、母親は14歳の時に亡くした。1963(昭和38)年、学習院大学を卒業したが、実家の大乗寺を継ぐことを決意し、24歳で高野山の専修学院に入ったが、兄と死別し、28歳の時に父親を亡くした。

 そして、「時あたかも、欧州に戦雲深く垂れ込み、流行疫神その貌(かお)転変として」と読み上げ、「戦渦や流行病(はやりやまい)が人々を苦しめている。弘法大師にはその威光をもって、私たちが長く嘆き悲しむことのないようお力を頂きたい」という趣旨の奉告文を読み上げた。

「松三宝の儀」今川泰伸・金剛峯寺執行長から箸で縁起物の昆布と米を受け取る
「晋山奉告文」を読み上げ、弘法大師・空海の偉業を讃え、国家安泰・世界平和を祈念

■混沌とした時代、改めて誓う“祈り”

 自身も逆境を生き抜き、現在は、ロシアによるウクライナ軍事侵攻の終わりが見えず、新型コロナウイルスの完全収束が見通せない逆境の時代に座主となった。こうしたことから長谷部座主は、「混沌とした時代に祈り続ける大切さ」を説く。

 今年(2023年)は弘法大師・空海の生誕1250年の節目にあたり、高野山をはじめ空海ゆかりの地でさまざまな法会や行事が予定されている。

■高野山・比叡山 両座主が思いを交わす

 関西には、空海が開創した高野山と、最澄が入山して延暦寺を建立した比叡山(滋賀県大津市)の2つの霊峰がそびえる。
 現在、それぞれのトップが兵庫県出身ということもあり、2022年12月には、比叡山延暦寺から大樹孝啓・第258世天台座主(98)が高野山金剛峯寺を訪れた。大樹座主は旧播磨国の姫路市出身で、天台宗別格本山・書写山円教寺の第140世長吏(住職)から史上最高齢で天台座主に上任、長谷部座主は旧但馬国の香美町出身。この時、互いに80代、90代で迎えた座主という重責を全うすることを誓った。
 高野山の歴史の中で、天台座主の来山は3回目で、2015(平成27年)に行われた高野山開創1200年記念大法会の半田孝淳座主(当時)以来という。

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