1962年に登場した『コーヒーガム』。あの懐かしい味わいを覚えている人も多いのではないでしょうか? そんなコーヒーガムが昨年末に復活し、当時を知る40代前後の世代を中心に大きな話題となりました。コーヒーガムを中心とした懐かしの昭和ガムについて、株式会社ロッテのマーケティング部チューイング企画課の毛利さんに話を聞きました。
―――日本にガムが登場したのはいつ?
【毛利さん】 ガムは、大正5年に初めて輸入されました。そして、第二次世界大戦後、日本に駐在していたアメリカ兵が子どもたちに配ったのをきっかけに、新しいお菓子として急速に普及したといわれています。甘いものなどほとんどない時代だったので、子どもたちを中心に日本中に瞬く間に広がりました。
当時は、日本全国に菓子メーカーが300社以上もありましたが、ガム業界に参入するメーカーも多かったそうです。ロッテはチューインガムの将来性を信じ1948年に創業しました。ちなみに、ロッテが現在販売しているガムのなかで最も古いのは、1957年に発売を開始した『グリーンガム』です。
―――コーヒーガムを販売したきっかけは?
【毛利さん】 コーヒーガムは1962年に販売を開始しました。当時の子どもたちにとって、コーヒーはお酒と同じように憧れの“大人の飲み物”でした。そこで、「コーヒーを飲むという大人の体験をさせてあげたい」という思いから開発されたのがコーヒーガムです。
かんだ瞬間、ほろ苦いコーヒーの香りが口の中に一気に広がるのが特徴で、当時の子どもたちはみんな、このガムで初めてコーヒーの味を知ったそうです。おかげで子どもから大人まで幅広い層に愛されて、1990年ごろまでの約30年間にわたって販売されたロングセラー商品となりました。
―――昨年復活を遂げたんですよね?
【毛利さん】 昨年の11月に復刻版を販売しました。また、昨年春に実施されたロッテの「推しガム総選挙」では見事1位に選ばれました。当時食べていた方はもちろん、昨今のレトロブームもあって10〜20代の方など、令和の時代でも大変好評でした。
久しぶりに食べた人からは「小学生のころ、コーヒーガムを食べてちょっと大人になった気分を味わっていました」「ひと口食べた瞬間に、あのころの“ほろ苦い”思い出がよみがえってきました」など、当時を懐かしむ声がたくさん届きました。特徴的な味というのもあって小中学生だった当時の思い出とリンクしている人が多く、そんな“思い出の味”であることも、今も「レトロガム」と呼ばれて人気の理由なのだと思います。