【中将】 世良さんは大阪芸術大学出身なのですが、この曲を大学4年の時に作っています。そしてヤマハポピュラーソングコンテスト「ポプコン」、世界歌謡祭でグランプリを獲得してレコードデビュー。オリコンウイークリーランキング6位を記録する大ヒットになりました。
【橋本】 すごい親孝行なミュージシャンですね……。みんなが就職するのと同時にレコードデビューして、しかもヒットなんて! でも、そんな若さでこんな世界観の歌詞が書けるって、世良さんはどんな恋愛をされてきたのでしょうか……。
【中将】 当時の大阪は若者の間でブルースが盛り上がってましたからね。こういうすさんだ恋愛のエピソードがそこらじゅうに転がっていたのかもしれません(笑)。
あと、当時の世良さんを語る上で忘れてはいけないのが派手なアクション。大足を広げて、アクションスターのようにスタンドマイクを振り回しながら歌う姿が子どもたちの心をつかみ、学校の掃除の時間にはほうきを持って世良さんのものまねをする子どもが大量発生したそうです(笑)。世良さんはテレビを積極的に利用したロックミュージシャンという点で大きな存在ですね。
【橋本】 それはめちゃくちゃ気になります! あとでスマホで調べてみます(笑)。
【中将】 次で最後の曲になりました。ゴダイゴの「モンキー・マジック」(1978)。
【橋本】 この前の特番ではミッキー吉野さんのお話を聞きましたが、40年以上前の音楽とは思えないほどセンスいいですよね……。しかも全部英語!
【中将】 これまで紹介した楽曲はどれも当時のリスナーに合わせた妥協が見えましたが、この曲はむしろ時代の先を行ってますよね。
【橋本】 めちゃくちゃセンスいいしカッコいいんだけど、昭和のポップスに必要なキャッチーさもある……すごく計算して作られてるんだなと感動します。
【中将】 この曲は大ヒットドラマ『西遊記』(日本テレビ)のオープニングですが、ミッキーさんが「この曲が出るまでの2、3年の間、いろんなCMや挿入歌を手がけることでリスナーの耳をゴダイゴのサウンドに慣らしていた」とおっしゃっていたのは震えました。
さて、いろいろ紹介してきましたが、当時のロックミュージシャンたちの苦悩や創意工夫があったからこそ現在の自由な音楽シーンができあがったということです。このあたり、ぜひ多くの若いミュージシャンに知っていただきたいところですね。