夏休みシーズン真っ只中! 家族や友人とバーベキューやビアガーデン、外食を楽しむ機会も多いことでしょう。そんな中、気をつけたいのが夏の食中毒。予防のポイントを、管理栄養士であり食品衛生監視員の酒井晶子さんに聞きました。
◆「食中毒」とは
食中毒とは、その原因となる細菌やウイルスが付着した食べ物を摂取することで起こる、下痢・腹痛・嘔吐などの健康被害のこと。食中毒には、細菌性・ウイルス性・自然毒性などさまざまなタイプがありますが、なかでもこの時期に多く発生するのが細菌性食中毒です。
◆夏場は特に注意! カンピロバクター食中毒
細菌性食中毒の代表的なものは、腸管出血性大腸菌(O157、O111など)やサルモネラ菌など。なかでも、近年特にカンピロバクターによる食中毒が毎年多く発生しています。
カンピロバクターは、ニワトリ、ウシ等の家畜をはじめ、私たちの生活に身近なペット、野生動物など多くの動物が保菌しています。国内で発生している細菌性食中毒の中で発生件数が多く、年間300件、患者数2,000人程度で推移しています。
【原因】
カンピロバクターは、ニワトリの保菌率が高く、市販の鶏肉の表面にも付着していることが多くあります。そのため、カンピロバクター食中毒は、生もしくは加熱不十分な鶏肉料理が主な原因と言われています。たとえば、鶏刺し・鶏たたき・鶏レバ刺しなどが食中毒の理由として多く報告されています。
【症状】
カンピロバクターに感染すると、腹痛や下痢、発熱、吐き気、頭痛、倦怠感などの症状がみられ、多くの場合は1週間ほどで回復します。潜伏期間は1~7日と、やや長いことが特徴です。乳幼児や高齢者など、抵抗力の弱い人は重症化する危険性もあり、特に注意が必要だそう。
また、カンピロバクターは、感染した数週間後に、手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを引き起こすギラン・バレー症候群を発症する場合がまれにあることも指摘されています。