卒業や入学、転勤などにより新たな環境で生活を始める人が多いシーズンとなりました。歓送迎会もたくさん行われる季節ですが、そこで注意したいのが、“食中毒”です。日常に潜む食中毒の危険について、神戸市健康局食品衛生課の課長・角村勉さんに話を聞きました。
食中毒のリスクが特にある食材が、生肉。角村さんも次のように注意を促します。
「(食肉は)しっかり加熱しないと食中毒菌のカンピロバクターや腸管出血性大腸菌が残ってしまうことがある。それが食中毒の原因となる。半面しか焼けていない肉など生焼けの肉を食べるのは非常に危険なため、両面をしっかり焼いて、中まできちんと火を通すことが大事になる」

肉料理を調理したり、取り分けたりするときにも、気をつけなければいけないことがあると、角村さんは強調します。
「おうちで料理するとき、生肉をさわったら、その手や包丁、まな板をきっちり洗い、消毒したうえで他の食材を扱わないと、(そのままだと食中毒菌が)うつってしまう」
「生肉を焼く際に使用した箸を、食べるときにそのまま使用するのも危険。せっかく肉に火を通しても、箸についた食中毒菌が口から入る危険性があるため、焼くときの箸と食べる箸を分けることが重要」

口に入れても味の変化がなく、あとから症状が出てくるのが、食中毒のこわいところ。食中毒を発症すると、激しい腹痛、下痢、嘔吐、発熱などの症状が出てくるということで、「症状が重い場合はすぐに医療機関への受診してほしい」。角村さんによると、焼肉以外に、鳥刺しも食中毒の原因になりやすいそうで、カンピロバクター食中毒においては麻ひをともなう後遺症との関連も報告されているといいます。

現在、牛のレバーならびに豚のお肉やレバーなどの内臓を生食用として販売・提供することは禁止されています。牛ユッケについても、厳しい規格基準を守っている店舗でしか提供することができません。
一方で、鶏肉に関する法規制はまだ設けられていないため、個人個人による判断が必要だといいます。居酒屋メニューの「鳥刺し」「鶏のたたき」は“朝引き”だから新鮮だと思われがちですが、新鮮な鶏肉であってもカンピロバクターという食中毒菌は付着しているため、牛肉や豚肉と同様に十分な加熱は不可欠。それはジビエにおいても言えることで、角村さんいわく、生や生焼けのジビエを食べると寄生虫やウイルスに感染する可能性があるそうです。
角村さんは「食中毒は誰でも起こり得るもの。お肉はしっかり加熱していただき、衛生管理を徹底して、安全においしい食事を楽しんでください」と呼びかけていました。
※ラジオ関西『サンデー神戸』より
