生まれも育ちも神戸市中央区でサブカル郷土史家の佐々木孝昌(神戸史談会、神戸史学会・会員)が、北区出身で落語家の桂天吾と、神戸のあれこれについてポッドキャストで語る『神戸放談』(ラジオ関西Podcast)連載シリーズ。今回のテーマは、「神戸のお好み焼き」です。

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お好み焼きと言えば大阪のイメージが強いが、いやいや、神戸もお好み焼き店は多いし、名物の一つである。特に、新長田が有名だ。老舗のお好み焼き店も多い。もちろん、新長田以外でも神戸市内の下町や商店街を問わず、多くのお好み焼き店がある。
三宮でも、三宮センター街3丁目商店街(旧・柳筋)は、かつてお好み焼き店・明石焼き店が軒を連ねていた。通称「お好み焼き通り」である。僕も、阪神・淡路大震災以前の高校時代にちょくちょく食べに行っていたが、現在、お好み焼き店は2店舗になってしまったのが寂しい限りだ。
そんな神戸では、昔からお好み焼きにマヨネーズをかけて食べない。というか、お店にマヨネーズは置いていなかった。お客も求めなかったのだろう。お好み焼きにマヨネーズをかけたのは、1946年創業の大阪の「ぼてぢゅう」が最初と言われている。つまり、大阪の食文化なのだ。

近年は、味の嗜好の変化や大阪のチェーン店などの進出、新しいお店の増加もあるだろうから、神戸でもマヨネーズをかける人もいれば、置いているお店もある。しかし、昔からのお店は、基本的に今でも置いていないところは多い。そもそも、ソースは自分で塗るのでマヨネーズをかけた状態で出されることはない。
そういえば、お祭りの屋台でお好み焼きを買う時、昔は、ソースしか塗っていないのが普通だったが、いつの頃からか、「マヨネーズはかけますか?」と聞かれることが多くなった。初めからかけている屋台もあるだろうが、“神戸のお客さんはマヨネーズをかけない”のが前提で販売しているのかもしれない。こんな所にも、神戸的なものを感じてしまう。
また、昔ながらの神戸のお好み焼きは、生地とキャベツを混ぜず、生地の上にキャベツや具材を乗せて焼く「のせ型」である。特に、新長田の老舗などは今でもそうだ。




