現在の日本を代表するイラストレーターのひとり、中村佑介の軌跡を辿る過去最大規模の展覧会が、出身地である宝塚市の宝塚市立文化芸術センターで開かれている。2025年7月21日(月・祝)まで。

中村佑介は、ロックバンド・ASIAN KUNG-FU GENERATIONのCDジャケットをはじめ、ベストセラー『夜は短し歩けよ乙女』『謎解きはディナーのあとで』の書籍カバーなどを手掛けたイラストレーター。高校音楽の教科書カバーのデザインや、菓子などのパッケージなど、その活躍は多岐にわたることから、誰もが一度は中村の作品を目にしたことがあるだろう。
今展では、中村がこれまでに手掛けてきた作品の着色前の原画(線画)300点以上と完成画となる着色パネル270点以上を併せて展示するほか、企業とのコラボグッズやデビュー前のスケッチなどを展示。その数は700点近くにのぼり、まさに中村佑介の軌跡を辿る展覧会となる。

会場内には原画と着色パネルが並べて展示されている。原画の中には、アイデアスケッチ、下描き、ペン入れなどの段階を追って展示したものもあり、その制作過程がわかる。またその緻密さにも驚かされる。
「原画では線が太い部分や細い部分があったり、『この線は効果を考えながら描いたのかな?』など、着色後のパネルからは見えないような所も感じ取ることができる」と同館の山口由香学芸員は話す。
また、中村が手掛けた宝塚観光ガイドブック(宝塚観光パンフレット)の表紙や宝塚市制70周年のイラストのパネルや原画も展示されており、随所に「宝塚ならでは」のモチーフを見ることができる。







