《神戸・男子高校生殺害事件15年》「まだ逃げるのか…」事件に向き合わぬ被告へ 父・堤 敏さん | ラジトピ ラジオ関西トピックス

《神戸・男子高校生殺害事件15年》「まだ逃げるのか…」事件に向き合わぬ被告へ 父・堤 敏さん

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 神戸市北区の路上で2010年、堤将太さん(当時16歳・高校2年)が殺害された事件は10月4日、発生から15年を迎えた。

亡くなる約2か月前、夏休みに訪れたユニバーサルスタジオジャパンでの堤将太さん〈2010年8月〉

 将太さんの父親・敏(さとし)さんがラジオ関西の取材に応じ、「被告の男からはいまだに謝罪の言葉はない。どうしてこの事件と向き合おうとしないのか」と怒りをあらわにした。

「いまだに被告の男から謝罪もない。民事裁判ではまったく向き合っていない」将太さんの父・堤敏さんの苛立ちは募る〈2025年9月30日 神戸市北区〉

 将太さんは、面識のない男に折り畳み式ナイフで突き刺され殺害された。男は犯行当時17歳。

 10年10か月後の2021年8月4日に愛知県内で逮捕され、翌22年1月に殺人罪で起訴された。

 2023年6月に神戸地裁で開かれた裁判員裁判で、男は「(将太さんに対する)殺意はなかった」として、起訴状の内容を否認し、弁護側は善悪の判断が著しく低下する「心神耗弱」状態だったとして刑の減軽を求めていた。神戸地裁は男に精神障害はないと断定、完全責任能力を認めて懲役18年の判決を言い渡した。男はこれを不服として控訴したが、今年(2025年)6月、大阪高裁はこれを棄却。「あまりにも理不尽な動機だった」と指摘し、犯行時に少年だったことなどを考慮しても「懲役18年が不当に重いとはいえない」とした。

 控訴審の争点は刑の重さ。少年法では「無期刑に相当する場合は有期刑とする」規定があり、事件発生当時の少年法は無期刑に相当する場合、有期刑の上限を15年と定めていた。

 ただし、事件後に成人した被告が有期刑に相当する場合は特段の定めはない。

 遺族代理人の河瀬真弁護士は、一審判決後、「ただ単に少年だから、未熟だから、という理由でむげに刑が減軽されることがなかったのは、ひとつの成果だったと思う」と評価している。

 事件をめぐっては、敏さんら遺族が男と両親に対し、約1億5000万円の損害賠償を求める民事裁判が続いている。10月下旬には10回目の口頭弁論が神戸地裁で開かれる。

 遺族は、「犯行当時、未成年だった男が10年10か月逃亡していたのは、両親も“逃亡を手助け”していた可能性が高く、監督責任も問われるべき。いまだに明確な犯行動機がわからないし、なぜ逃げたのかも知りたい。遺族としての思いは、賠償金ではなく、真実を突き止めたい」との思いで提訴した。

 昨年(2024年)8月、第1回口頭弁論が開かれた。その後は非公開での協議が続き、ようやく“リアル”になる。

 男は事件についての事実関係は認めているが、賠償金額について不服があるという。

民事裁判・提訴後、初の弁論手続きを終えて取材に応じる敏さん「私たちは1ミリも引かない」〈2024年6月10日 神戸市中央区・神戸地裁前〉
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