大阪・関西万博でアニメーション監督・河森正治氏がプロデュースしたシグネチャーパビリオン「いのちめぐる冒険」で展示していた『いのち球モニュメント』が、1970年大阪万博会場の跡地・万博記念公園(大阪府吹田市)に12月5日に移設され、セレモニーが開かれた。


「いのちめぐる冒険」は、大阪・関西万博のテーマ事業『いのちの輝きプロジェクト』を具現化する8つのパビリオン(テーマ館)のうちの1つ。テーマ館は河森氏のほか、映画監督の河瀬直美氏、ロボット学者で大阪大学大学院教授の石黒浩氏、音楽家で数学研究者の中島さち子氏、放送作家の小山薫堂氏、慶応義塾大学医学部教授の宮田裕章氏ら8人がそれぞれプロデュースした。


河森氏はラジオ関西の取材に対し、当時10歳だった少年時代、1970年大阪万博を訪れた思い出を語った。3日間で8割以上のパビリオンを回り、目にしたハイテク、名前も知らなかった国々の文化、さまざまな食…「この地球には、多様な世界が広がっている。衝撃は大きかった。万博での体験がなければ、アニメーションやSF関係の仕事には就いていなかった」と振り返る。


そして、「55年前の大阪万博、この地を訪れた時、自分がデザインした『いのち球モニュメント』を移設するなんて想像すらできなかった。球体は転がすと上も下もない。“いのちの連鎖反応”を表している。55年前、この場所(万博記念公園)にはたくさんのパビリオンが立ち並んでいた。それが今、森になり、花畑になり、素晴らしい空間になっている。1970年万博も、2025年万博も、未来に向けてどんな一歩を踏み出していくのかを見つめることが大事。1970年万博のコンセプトが“人類の進歩と調和”。あれから55年経ち、それが実現されたか?確かに人類は目まぐるしく進歩したが、調和は実現していないのではないか。人類以外の生態系はダメージを受けてしまった。今回の万博は“いのち輝く未来社会のデザイン”がテーマ。あらゆる“いのち”が輝くことをコンセプトにできないかと考えるようになった」と話した。


『いのち球モニュメント』は直径3.5メートル。「いのちは合体・変形だ!」をコンセプトとした河森館前に設置していた。ゾウ、クジラ、樹木、キノコ、アリ、人間など、大小さまざまな生きものを描き、生物多様性の循環と変化を表現したシャンパンゴールドカラー。表面には、NTTドコモが、廃棄されたPCや携帯電話から取り出した都市鉱山製の金を100%使用した金箔を手作業で貼り付けた。 NTTドコモは1998年から携帯電話のリサイクルを始め、累計で1.3億個以上の携帯電話(スマートフォン含む)を回収している。








