ラジオ関西の三上公也アナウンサーが、兵庫・神戸で活躍する企業やお店を訪ねる『こうべしんきん三上公也の企業訪問』(ラジオ関西)。2月9日の放送回では、株式会社T-ICU(本社:芦屋市大桝町)を訪問し、代表取締役兼医師の中西智之さんに、同社の取り組みを聞いた。
医療ベンチャーとして遠隔医療を提供するT-ICU。もともと救急、ICUの専門医で病院に勤めていた中西さんは、専門医や医師の不足で各病院の提供できる診療レベルに差があると感じていたそう。
「なんとかして改善したい」と思っていた矢先、アメリカで取り組まれている遠隔診療を知り、日本にも導入しようと会社を設立。「病院に必要だとお声がけをいただいて導入につなげています。また逆に我々ドクターの立場として(病院側へ)提案に上がることもあります」と話す。
昨年12月には神戸市立医療センター中央市民病院で臨時コロナ病棟のなかに同社の『遠隔モニタリングシステム』が導入されたという。モニタリングシステムでは重症患者の血圧、心電図、心拍数、酸素飽和度などを測るデバイスを取り付け、その他、様々な情報を病院外にいる専門医と共有。治療方針をアドバイスする遠隔診療のサポートを担う。
病院から相談を受け対応するドクターはおよそ30人、ナースは20人ほどで稼働。「24時間365日対応しています。彼らの空いている時間をつなぎ合わせて相談窓口を維持しています。専門医や専門看護師が関わることで、現場のドクターやナースの負担を減らし、医療レベルを引き上げられるという思いを持って取り組んでいます」と中西さんは語る。現場では専門外でも対応されている医師たちへ、専門医の意見が入ることでいい方針を選択できるといった声も上がっているとのこと。
また、同社のシステムは日本だけでなく、開発途上国でも活用。新型コロナウイルス感染症による重症肺炎患者の診療サポートについて、日本から遠隔支援するプロジェクトを、JICA(国際協力機構)とともに進めているという。
「まだチャレンジ的なところもありますが、しっかり体制を作って、まずは半年間パイロット的に3か国から始めます。問題がなければ半年後からは15か国ほどに展開していく予定ですので、国内にとどまらず海外、途上国の医療も支えていければと思っています」
今後について「ワクチンの開発が盛んに行われていますが、患者さんの軽症・重症を問わず減らしていくことが、医療体制を整備するということ。遠隔診療はその有効な手段のひとつだと考えます」と、中西さん。「今、国民の高齢化の中で、高齢者の方が合併症をもって病気になられる方も増えてきています。一方で医師不足の解決もなかなか難しいので、医師を(遠隔診療で)有効活用して医療体制を整えるという意味では、遠隔診療は広まっていくと思います」と、遠隔診療の今後に期待をかけていた。
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『こうべしんきん三上公也の企業訪問』2021年2月16日放送回 音声