瀬戸内に春の訪れを告げるイカナゴの「シンコ(※新子=稚魚)漁」が大阪湾と播磨灘で6日、解禁され、播磨灘・大阪湾の各港から出た漁船は午前6時すぎに、2隻の船で袋状の網を引っ張る「船曳き網(ふなびきあみ)」を一斉に下ろした。
ここ数年の不漁傾向は深刻で、去年の漁獲量は約147トンとこれまでで最少で、水揚げが全くなかった港もあったほど。5年連続の不漁が予想される2021年は去年より6日遅れの解禁となった。
明石海峡では、海の水質が改善され海中の窒素やリン分が減少したのに伴いエサとなるプランクトンが減ったのも、イカナゴの生育に影響したと分析されている。去年、初日の水揚げがゼロだった明石市の林崎漁港では、初競りで1カゴ(約25㎏)当たり9万5000円の初値が。不漁が続く近年では最も高値という。
イカナゴの稚魚「シンコ」は甘辛く炊く郷土料理「くぎ煮」で知られる。関係者は、「依然として量が少ない。漁獲量が回復しないのは心配だが、サイズも十分なので、できるだけ多くの人に味わってほしい」と話した。
※「シンコ(新子)」今年生まれたもの(体長2~6㎝程度)
※「フルセ(古背)」2~3年魚(体長10~13cm程度)