目指すは田んぼの違いがわかる酒造り 酒米農家の取り組み・加西 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

目指すは田んぼの違いがわかる酒造り 酒米農家の取り組み・加西

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 兵庫県加西市をはじめとした北播磨は、酒米の王者“山田錦”の一大生産地。酒米の農家や、日本酒の蔵元なども多数存在するエリアだが、現在コロナ禍の影響で日本酒の需要が激減している。

 そのなかでも奮闘する加西の山田錦やお酒を支える人々に話を聞く。今回は加西市を拠点に、酒米・山田錦の生産と日本酒販売を行っている株式会社tenの代表取締役を務める名古屋敦さんだ。

◆土地の個性を活かす“一圃一酒”のお酒づくり

 株式会社tenは今、同じ圃場(ほじょう=農作物を栽培する場所)でとれた酒米でお酒をつくる「一圃一酒プロジェクト」に取り組んでいる。

「日本酒づくりでは酒米をブレンドする手法がありますが、米農家として自分の作ったお米がどこに行ったか分からないのがもどかしかった」という名古屋さんは、「この田んぼでできたお米が日本酒になっている」と実感できるお酒づくりを目指し、一圃一酒プロジェクトを開始したそう。この“一圃一酒”のメリットは、特定の圃場でとれた酒米のみを使用するため、酒米の特徴をつかみやすいという点にあるという。

 日本酒づくりは酒蔵と二人三脚で行う。茨城県の蔵元では、精白した山田錦を使いお米のコクを追求した純米大吟醸を。そして地元・加西市の蔵元では、酒米をあまり削らない低精白の山田錦を使い、熟成をテーマに酸を活かした生酛(きもと)の純米酒をつくっている。「どちらもキレの良さを大切にし、杯(さかずき)の進むお酒を目指しています」(名古屋さん)。

一つの田圃から採れた酒米だけを使う「一圃一酒」で造られた純米酒「SEN」。通販のほかコンセプトショップ「ten」(加西市山下町)などで販売中
tenの大きな窓からは山田錦の田んぼを見渡すことができる

◆土地の力を高める、新たな取り組みも

 そして同社では、数年前から有機栽培にも挑戦している。「田んぼの周囲にある山の裾野をせき止めて池を作り、そこの水で酒米を栽培しているんですが、『山に生えている竹を農業に活かせないか?』と考えたんです」という名古屋さんは、竹をチップにして田んぼのたい肥にする方法を採用。「土地の個性をいかしながら、周囲に植生するものを田んぼに還元し、土地の力を高めている」と、酒米づくりのための新たな取り組みの意義を語る。

株式会社tenの代表取締役・名古屋敦さん

※ラジオ関西『PUSH!』2021年10月20日放送回「加西山田錦!酒ものがたり」より

■株式会社ten
【公式HP】

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