1980年前後の福岡で誕生し全国を席巻した一大ムーブメント「めんたいロック」。R&Rやブルースロック、パンクの影響から独特のスタイルを生み出し、現在のロックシーンにも影響を与える彼らについて、シンガーソングライターで音楽評論家の中将タカノリと、シンガーソングライターでTikTokerの橋本菜津美が迫ります。
【中将タカノリ(以下「中将」)】 菜津美ちゃんは「めんたいロック」って知ってますか?
【橋本菜津美(以下「橋本」)】 なにそれ? 明太子?
【中将】 1980年前後に起こった一大ムーブメントのことで、福岡県から数々の斬新なスタイルのロックバンドが登場したんです。福岡だから「めんたい」。ザ・ルースターズというバンドを売り出す際のキャッチコピーから広まったそうですが、そんな彼らの代表曲と言えば「恋をしようよ」(1980)。
「俺はただおまえと やりたいだけ」……歌詞はめちゃパンキッシュで初期衝動な感じですが、サウンドはキレの良い洗練されたロックンロールに仕上がっています。
【橋本】 ロックンロール! 私が中学のときに175Rが流行っていたのですが、共通したものを感じました。
【中将】 彼らの音楽性はさらにポップでメロコア、青春パンクにカテゴライズされますが、同じ北九州市出身なので何らかの影響や意識はあったかもしれません。ルースターズはミッシェル・ガン・エレファントやブランキー・ジェット・シティなど1990年代に活躍したバンドにも大きな影響を与えています。
【橋本】 わかります。皆さん、聴いているとお酒が飲みたくなる音楽ですね!
【中将】 1970年代以前にもロックンロールやハードロックのシーンは存在したんですが、たしかにライブハウスでお酒飲んでモッシュするような文化に直結するのは、めんたいロックでしょうね。