2023年4月、関西の私鉄、JRの運賃値上げに向けた動きが本格化している。消費税率変更に伴う2019年10月以来の値上げとなる。
2021年12月に国が創設した「鉄道駅バリアフリー料金制度」を活用して、駅構内の施設の充実を図ることが主な理由。首都圏では東京メトロやJR東日本などが、この制度に基づく料金の上乗せを決めている。
関西の大手私鉄4社(阪急・阪神・近鉄・京阪)の2022年4~6月期連結決算が8月に出そろった。新型コロナウイルスの影響が和らいで利用者が戻り、全て増益となったが、長引くコロナ感染拡大・第7波の影響は大きく、先行きの不透明感はぬぐえない。
阪急電鉄と阪神電気鉄道(いずれも大阪市北区)は、駅のホームドア整備などのバリアフリー化に充てるため、運賃に一律10円を上乗せする。阪急の初乗り運賃は160円が170円に、阪神は150円が160円になる。阪急は10円の上乗せで年36億7千万円の増収を見込む。現在、十三駅と神戸三宮駅の2駅だけに設置されたホームドアを2035年度までには68駅まで増やすとしている。
阪神は年13億5千万円の増収を見込む。大阪梅田駅、神戸三宮駅の2駅に設置しているホームドアを同じく2035年度までに34駅で整備する。
両社の通勤定期(1か月)の加算額は一律で380円。3か月で1080円または1090円、6か月で2050円または2060円(通学定期は変更なし)。
また山陽電気鉄道(神戸市長田区)も、全49駅でバリアフリー化を進めるため、運賃に一律10円を上乗せする。 山陽もバリアフリー整備計画は2035年度までとし、費用は58億円超と見込む。 山陽ではすでに22駅にエレベーター、6駅にエスカレーターを設置しているが、他の駅でもエレベーターやスロープの新設、ホームの段差・すき間の縮小、バリアフリートイレの整備などを進める。
通勤定期の上乗せ額は、1か月で一律360円、3か月で1020円または1030円、6か月で1940円または1950円(通学定期は変更なし)。
神戸電鉄 (神戸市兵庫区)も、全46駅でバリアフリー化を進める。これにより運賃は一律10円、通勤定期は1か月で380円上乗せとなる。6か月の場合、2050円または2060円の値上げに(通学定期は変更なし)。
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