「なぜふとんには花柄が多い?」みなさんはそんな疑問をいだいたことがあるでしょうか。カバーをかけるにもかかわらず、どうして華やかな色や絵柄がほどこされているのか。日本ふとん協会の米山さんに聞きました。
米山さんによると、ふとんに花柄が多いのは「着物を再利用していた昔のなごり」だそう。
「かつてしきぶとんには、着物に使用される「生機(きばた)」という生地が使われていました。そもそも当時は33センチほどの生地を作る機械しかなかったため、着物はそれらをぬい合わせることで仕立てられていました。そしてしきぶとんは、糸をほどいた着物の生地をつなぎ合わせることで作られていたのです」(米山)
もともと着物には花柄がよくあしらわれていたため、再利用で作られたふとんの多くも花柄になっていたということがわかりました。また産業革命以降は、技術発展に伴い100センチ以上の生機も作れるようになります。着物を再利用することは次第になくなりましたが、かつてのなごりから、出来上がった生機にも花柄がプリントされるようになったとのことです。
最近では、無地やシンプルな絵柄で販売されていることも多いふとんですが、今もなお花柄が残るのはなぜなのでしょうか。取材からは、2つのメリットがわかりました。
1.染める際の色むらを隠す
ふとんは販売されるまでに人の目による厳しい品質チェックを受けるといいます。染める際にできてしまう色むらは、花柄やペイズリー柄などの派手な柄にうまくなじみやすいとのことです。
2.使用時の汚れを目立たなくする
無地であれば、寝ている間にかく汗などによるしみや汚れが目立ちやすくなります。色のついた絵柄がデザインされたものであれば、それらの汚れも隠すことができるというメリットがあるといいます。
今なお花柄が多く残る背景には、製造上の理由と消費者にとってのメリットがあることがわかりました。