兵庫県が誇る高級手延べそうめんとして、全国に広く知られる「揖保乃糸」。その豆知識などを届ける2回シリーズの第2弾は、そうめんがお中元の定番となった由来や、そうめんを束ねる帯の色の意味、おいしいゆで方まで、さまざまな角度からそうめんや揖保乃糸を深掘りしていきます。今回も、兵庫県手延素麵協同組合・営業部企画課・課長補佐の天川亮さんに取材しました。
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――各地でお中元商戦が展開されています。「お中元=そうめん」は今やすっかり定番ですが、いつ頃どのような経緯で定着したのでしょうか?
【天川さん】 現在は一般に広く食べられているそうめんですが、平安時代には大変な高級品でした。実は、そのころから贈り物に使われていたことが色々な文献に残っています。七夕にそうめんを食べると大病を患わないという言い伝えもあり、保存がきくので重宝されたことでしょう。ちなみに、その言い伝えが由来で7月7日は「そうめんの日」にも制定されています。
細く、長く、縁起の良い食べ物という一面もありますので、お世話になった方への贈り物として、また、縁をつむぐ食べ物として、現在でもご愛顧いただいているのだと思います。
――そうめんの種類やランクによって帯の色が違うと聞いたことがあります。
【天川さん】 揖保乃糸は、原材料である小麦粉の質や麺の太さ、製造時期などにより幾つかの等級に分かれています。
赤:生産量のおよそ8割を占め、最もご愛顧いただいている「上級品」。
黒:贈り物におすすめ「特級品」。より上質の小麦粉を使用しており、上級品よりも細く、より熟練した技術が必要とされるため生産者も限定しています。また、生産する時期も、最も寒くなる12~2月に限られます。
ほかにも、国産小麦を使用しモチモチした食感が心地よい「縒(より)つむぎ」や、少し太く仕上げることでボリューミーな食べ応えを実現した「太づくり」などがあります。そうめんと同じ手延べ製法でつくった「ひやむぎ」「うどん」「中華麺」や「パスタ」なども、実は作っています。
――パスタや中華麺まで製造されているとは驚きです! そうめんはどの会社の製品も長さが大体どれも同じであることから、「スーパーの棚に並べやすい長さにしている」と聞いたことがあります。本当でしょうか?