普段使っているカップとソーサー。何気なく「ティーカップ」「コーヒーカップ」と呼んでいませんか? じつは、紅茶用・コーヒー用では違いがあります。それぞれの一般的な特徴とその理由について、輸入ブランド洋食器専門店「ル・ノーブル」の担当者に話を聞きました。
◆ティーカップ
口元(直径)が広く背が低いのが特徴で、花が開いたような形をしています。口元が広い理由は2つ。
(1)熱い紅茶を冷ましやすくするため。
紅茶は沸騰したお湯で茶葉を蒸らすことで香りを引き出すのですが、そのまま飲むと熱すぎるため冷ます必要があります。口元を広くして空気に触れる紅茶の面積を広げることで、飲みごろの温度まで冷ましやすくしているのです。
(2)香りや色(紅茶液の色)を楽しむため。
ティーカップは内側にモチーフが描かれているものが多いのですが、これは紅茶の水色を通して図柄を楽しむため。紅茶のほかに、ハーブティーもティーカップを使うことで香りや色をより楽しむことができるのでオススメです。
◆コーヒーカップ
ティーカップとは対照的に、 口元(直径)が狭く円筒形などのストンとした形をしており、高さがあるのが特徴です。また厚みのあるものも多くみられます。この形のポイントも「温度」。
一般的にコーヒーの抽出には90~95℃くらいのお湯が適しているとされますが、ドリップの過程で温度は下がり、カップに注がれる際の温度はさらに低くなります。そのため、温度を保つために飲み口が狭く高さのある形をしています。また、香りや焙煎されたことによる苦み、酸味などを楽しみやすい形でもあるのだそう。
◆コーヒーカップで紅茶を飲むのはNG?
あまり区別せずに使うことも多く、「コーヒーカップだけど、紅茶を入れてもいいの?」と悩む人も多いのではないでしょうか。もちろん、「絶対にダメ!」ということはなく、お気に入りの柄・形のカップで好きな飲み物を楽しむことには何の問題もありません。
ただ、先述の通り、それぞれの飲み物のおいしさや特徴を引き出したい場合は飲み物にあったカップを使うほうがよりその飲み物を楽しむことができます。こだわりの一杯を飲むときには、使い分けるのが良さそうです。