「ケーキ作りはおいしい果物を仕入れるところから始まる」と話すパティシエがいる。兵庫県神戸市に店を構える洋菓子店「パティスリー アンクレール」(同市西区)オーナーの牛尾嘉之さんだ。同店は、地元産のフルーツなど地域の素材を生かした菓子づくりで30年間愛され続けており、この時季は神戸産イチジクを用いた商品もショーケースに並ぶ。
牛尾さんはフルーツの旬にこだわり、仕入れにも人一倍気を遣っているのだそう。天気予報をチェックしながら、雨の少ないタイミングにフルーツが甘くなるのを見計らって仕入れ日を決めているほどだ。そんな、フルーツの目利きである牛尾さんに、夏が旬のフルーツの“おいしいものの見分け方”を聞いた。
■桃
桃をまるごと使ったケーキ「ピーチ姫」をつくり始めたのは25年前。神戸エリアで最初に桃を丸ごと使い始めたのは同店だそうで、その後ヒット商品となり、「夏に一回は食べたい」と毎年買ってくれる客もいるのだとか。
おいしい桃の見分け方は「お尻まで赤くなっているか、そして香りがしっかりしているか」とのこと。桃はお盆の前あたりから甘くなるとされ、牛尾さんの経験則では、セミがうるさくなり始めた頃から甘さが増すのだという。ピーチ姫は期間・個数限定の商品だが、熟れた桃しか使わないことから、当日にならないと製造数が見えないのだそう。
■ぶどう、パイナップル
甘いぶどうを見分けるには、房よりも茎の色をチェック。「茎が緑色のものはまだ熟れておらず、茎が黒くなっているものほど熟れている」と牛尾さんは言う。パイナップルは、皮の色が黄色く変化しているものほど熟れているのだそう。