◆羽川英樹の出発進行!
JRの路線を安い運賃で遠くまで乗るなら「青春18きっぷ」ですよね。JR各社の快速・普通列車の普通自由席に自由に乗り降りでき、5枚つづりで1万2050円。1回あたりは2410円で、乗車当日どこまでも行けます。6月18日にはJR各社から今夏の発売決定とその概要が発表されましたね(※2024年夏は発売期間が7月10日~8月31日、利用期間は7月20日~9月10日)。
しかし、これよりもう少しマニアックに、わずか1駅の運賃だけで大回りの旅が楽しめる方法があるんです。それが鉄道ファンの間で人気の「大都市近郊区間内の大回り旅」です。
JRで大都市近郊区間が設けられているのは、東京・大阪・福岡・新潟・仙台の5つのエリアです。この区間では乗車経路がいくつも存在するため、どのルートをとろうとも最安運賃で計算するというルールがあるんです。
しかも大阪の大都市近郊区間はかなり範囲が広く、東は『柘植』(つげ、草津線・関西本線)・西は『相生』(あいおい、山陽本線・赤穂線)・南は『和歌山』(きのくに線・和歌山線)、そして北は『福知山』(福知山線・山陰本線)や『近江塩津』(湖西線・北陸本線)までが含まれます。
ゆえにいろんな経路を考えることができるのですが、今回は大回り旅ビギナーにもおすすめのルートを体験してきました。題して「琵琶湖1周大回りの旅」。まずは『山科』~『大津』の1駅190円の切符を買います。これであえて時計回りに大きく回って琵琶湖1周を楽しもうというものです。
通常なら『山科』から琵琶湖線に乗って次の駅が『大津』ですが、ここでは湖西線の列車に乗車します。今年の7月20日に開業50周年を迎える湖西線は全線高架のため眺めがすごくよく、高速運行が楽しめます。
1時間に1本走る湖西線周りの新快速・敦賀行は『山科』を出ると『大津京』『比叡山坂本』『堅田』『近江舞子』と停車していきます。『蓬莱』を過ぎたあたりから右に琵琶湖、左に比良山系の山々という絶景が広がります。
白砂青松の砂浜がひろがる『近江舞子』から先は各駅に停車し、高島市、長浜市へと入っていきます。途中、湖西線の拠点となる『近江今津』で、これまでの12両から一気に8両が切り離されてたった4両編成となり、のどかな田園風景を眺めながら琵琶湖のてっぺんで静かなたたずまいの北陸本線と接続する『近江塩津』へ。ここまで『山科』からの乗車時間1時間12分です。
ここで間違わずに乗り換えてください。隣のホームに停車している琵琶湖線周りの新快速・姫路行きに。ただし接続時間が4分間しかありません。あまりにも接続が良すぎてトイレに行ったり、自販機で飲みものを買ったり、駅舎や周辺を見て回ったりする時間はまったくありません……。