店名も住所も非公表ながら、予約が約1年半待ちという人気の料理店が、大阪・北新地にあります。そのお店でらつ腕を発揮しているのが、料理人の政次由宇(まさつぐ・ゆう)さんです。このたびラジオ番組に出演し、「名前のない」お店で料理を振るまう思いなどを明かしました。
もともと料理ができたわけではなかったという政次さん。学生時代も「インスタントラーメンを作るのがギリギリ(できること)」だったそうで、調理学校に通った経験もなし。それが、30年前、神戸の「お寺さんみたいなところ」や、三宮に当時あったカニ料理店につとめたことをきっかけに、料理人の道を歩むことになります。
そこから料理の腕を磨き続け、いまや知る人ぞ知る、名料理人に。マンボウやエイなど珍しい食材も取り扱い、「“できるやろ~!”、“おいしいなこれ!”みたいな感じでやってます」(政次さん)。
食材探しも独特で、「とにかくあっちこっち連絡します。港とかに足を運んだり、けっこう観に行くことが多い。そこで見て、『この魚、買ってみたいんですけど……』とかで送ってもらう」という政次さん。形が変だったり、これまで見たことない色の魚にも興味を示し、「直観ですが、おいしそうやな、珍しいなと思うものは、なんか入れてみるんです」と、にこやかに語ります。
ジビエなどを含めて、教科書、料理本にないような食材をどう料理するのか。政次さんがベースにするのは「焼く、あげる、蒸す、煮る」。食材をタッチして、『この部位はどれに向いているのかな』と考えたうえで、火をさっと入れてどれが合うのかを見極めていくといいます。
そんな政次さんの「名前のない」お店では、前日や当日に入ってきた食材で、その日のメニューが決まるそう。
「僕は手打ちでそばをうっているので、その手打ちのそばはちょっと出しますが、あとは10種類くらい。ちょっとずつアテっぽく出たり。品数は……決まってはないですね。(食べる)量が少なそうな人、食べるのがむちゃくちゃ遅そうな人とかは、あまり食べはれへんやろなと思って、ちょっとにするときもありますし。もう出した途端に食べ終わっている人には、『きょう、けっこう食べてもらえるのかな』と思えるときもありますね」(政次さん)
店の名前もない、住所も連絡先も出していない、価格もわからない……それでも客の絶えないお店をつくりあげている政次さん。自身については謙遜するも、料理を振るまう上でのモットーは、「楽しく」といいます。「店もめちゃくちゃ格好良いわけではないですが、『少しでも喜んでもらえるなら』という気持ちは強いですね。料理をするときもけっこうリクエストを聞いたりしています」。絶品の料理はもちろん、客をもてなす心意気も、人気の秘密と言えるのかもしれません。
来店客はほどんど男性だそうですが、「みんなでわいわいとして、おもしろい感じがある」と、政次さん。実際にそのお店に足を運んだことがあるラジオパーソナリティーの林歳彦さん(会社経営者・環境活動家)は、「食べていっても、おいしいから、もっと食べたくなる。『まだいけます?』って聞かれて、『まだいけます!』といったら、どんどん新しいものが出てくる。エンターテインメントみたいに、料理を出すところから魅せる!魅せる!」と、同店にハマった思いをコメント。ともに番組パーソナリティーを務めるフリーアナウンサーの田中大貴さんは、政次さんや林さんの話を聞き、「ぜひ行きたい!」と懇願していました。
メディア出演はまれながら、パーソナリティー陣と終始笑顔でトークを展開した政次さん。番組の最後に「今は従業員が4~5人くらいいるんですが、もっと大人数でワイワイと、もう少し広いスペースでやってみたい。あとは、どこか海外へ料理を作りに行きたいなとも思っています」と今後の展望を明かしていました。
※ラジオ関西『としちゃん・大貴のええやんカー!やってみよう!!』2024年9月30日放送回より