スーパーで、野菜などの生鮮食品を購入する際に産地を確認する。よくある光景ではありますが、卵の産地を見たことはあるでしょうか?
「どれも一緒のように見えるかもしれないけれど、卵はどれも、鶏が産んでいる世界に1個しかないものなんです」と話すのは、淡路島の養鶏場「北坂養鶏場」代表の北坂勝さん。鶏を育てるうえでの思いや、同養鶏場について語りました。
北坂養鶏場は、淡路市育波の田畑と木々に囲まれた自然豊かな場所にある直売所。日本に約6パーセントしかいない、純国産鶏卵を育てています。もみじ色の殻をした卵を産む茶色い鶏“もみじ”と、さくら色の殻をした卵を産む白い鶏“さくら”という品種がいるそうです。
「純国産」とは、祖先をさかのぼっても外国産の鶏がいないことを意味します。卵そのものは日本で生産されていても、鶏が輸入された品種という養鶏場がほとんどだそうで、北坂さんいわく、「純国産は4パーセントほどにまで減っているかもしれない」のだとか。
純国産の鶏を育てることについて、「責任感やプライドよりもさみしさを感じる」という北坂さん。その真意について、このように語りました。
「日本人が日本のものの良さを築けなくなってしまうというのは、やっぱりさみしいことなのかなと思う。なので、できるだけそういうところに興味を持っていただけるような出会いがあればな、と思っています」(北坂さん)
さらに、生産だけでなく日本の養鶏を知ってもらうための取り組みも積極的に行っていることを明かしました。
養鶏場内の直売所では、卵だけでなく「たまごまるごとプリン」の加工販売も行っているほか、ファーマーズマーケットなどのイベントに生産者として出店することもあるといいます。また、養鶏場は見学も可能で、淡路島を訪れる子連れ家族のレジャースポットのひとつにもなっているそうです。
「たまごまるごとプリン」は、見た目はただのゆで卵ですが、割ってみると中身がプリン状になっており、カラメルシロップをかけて食べるそう。穴を開けてカスタードなどを注入することもしていない、“卵だけ”で作られているプリンで、「そのまま食べると卵なんですけど、外付けのシロップをかけるとプリンになる」のだとか。“卵”にこだわった、北坂養鶏場ならではの商品だそうです。