川崎重工エンジニア、中国出向後に自殺 神戸地裁、妻の賠償請求棄却「泣き寝入りできない」控訴へ | ラジトピ ラジオ関西トピックス

川崎重工エンジニア、中国出向後に自殺 神戸地裁、妻の賠償請求棄却「泣き寝入りできない」控訴へ

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 川崎重工業(本社・神戸市中央区)から中国の関連会社に出向していたエンジニアの男性社員(当時35歳)が自殺したのは、川崎重工側が海外での過重な業務やストレスを放置し、安全配慮義務を怠ったためとして、男性の遺族が同社を相手に損害賠償を求めた訴訟で、神戸地裁は15日、遺族の訴えを棄却した。

 原告側は控訴の意向を固めている。

判決言い渡し前の神戸地裁法廷〈2025年1月15日 午前10時56分 ※代表撮影〉

 訴状などによると、男性は2013年、単身で出向した中国の関連会社でうつ病を発症し、宿舎から飛び降りて死亡した。  

 男性は初めての海外勤務で、中国語はほとんど話せなかったため、現地でのコミュニケーションが十分に図れない中、赴任後間もない時期に続発したトラブルと、相手先の合弁企業との調整業務に手を取られ、本来の業務に専念できず、複数の案件が手付かずになったという。

原告は「過労自殺だった」と主張
被告・川崎重工は「事故死だった」と反論

 神戸東労働基準監督署は2016年3月、男性の自殺について、「職場での意思疎通が不十分だった」と指摘し、過剰な業務を対応しきれずに心理的負荷が強まったとして、労災認定した。

 原告側は、当時のメールのやり取りなどを分析し、「川崎重工は男性について、過重労働になることを認識しながら調整役の切り札として位置づけ、合弁会社との間で板ばさみになった」と指摘している。

 一方、川崎重工側は、男性が風邪薬とアルコールなどを同時に摂取して酩酊状態となり転落死したなどと反論していた。

 神戸地裁は判決で、男性社員が自殺したという事実を認定したが、「量的にも質的にも過重な業務に従事していたとは言えず、会社にはそれを軽減する義務もなかった」などとして、原告の訴えを退けた。  

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